本記事では、LPを運用しているものの思うような成果があがらず改善を検討されているWeb担当者の方に向けて、LP改善時にチェックすべきポイントを解説します。
LPの改善はポイントを押さえ、優先順位を決めて一カ所ずつ進めることが大切です。
本記事では、LP改善で優先して見直すべき順番にポイントを解説しています。一つひとつチェックしながら、自社のLPに当てはまらないという点は飛ばし、当てはまる点から改善を検討してみてください。
また、LP運用に携わるディレクターからのアドバイスも掲載しています。不明点はお気軽にお問い合わせください。
1)目標・KPI設定
2)ターゲット設定
3)セッション数
4)広告とLPの一貫性
5)ファーストビュー
6)CTA
7)キャッチコピー
8)コンテンツの構成
9)フォーム
10)限定表現
11)信頼性・権威づけ
12)表示速度
13)デバイスごとの見え方
14)競合との比較
15)成約率
LPを改善するということは、想定した成果が出ていない状態かと思います。そこで、まずはそのLPが何を目標にして、何をKPIに設定していたのかを見直しましょう。万が一目標やKPIが曖昧なままLPを運用していた場合、まずそれらを明確化する必要があります。
大前提として、LPはCV獲得に特化したマーケティング施策です。LPのCVに設定されることが多いのは、以下のようなアクションです。
なお、ユーザーがクリックすることでこれらのアクションに至るボタンのことを「CTA」といいます。CTAは、「Call to Action」の略です。
LP運用の最終的な目的は成約です。BtoC商材では、LPのCVを購入・申込=成約とする場合が多く見られます。一方、BtoB商材では、LPで見込み顧客を獲得して、そこから顧客育成(リードジェネレーション)を経て成約に至るケースが多くなります。
商材の単価によっても、LPでそのまま成約を目的とするか、LPでは見込み顧客を獲得してそこから成約を目指すかは異なります。
LPの目標としては、必要な成約数を基にしたCV数を設定することが一般的です。そして、そのCV数を達成するための指標として設定するのがKPIになります。
KPIとは「Key Performance Indicator=重要業績評価指標」の略で、企業や事業、プロジェクトといった組織の目標達成の進捗を評価する指標のことです。
LPのKPIとしては、以下のような指標が考えられます。
セッション数が少ない場合は、LPの改善の前にLPへと誘導する広告などの改善を検討する必要があります。滞在時間が短い場合やCVRが低い場合は、LPを改善します。
LPを改善するためには、そもそもどういったユーザーにLPを閲覧してもらい、CVに至ってほしいのか、ターゲット設定が明確化されている必要があります。ターゲット設定が曖昧なままLPを運用していた場合、まずはそこを明確にしましょう。
ターゲット設定では、ユーザーの年齢・性別・居住地域などの属性の他、ユーザーの趣味嗜好や価値観、ライフスタイル、家族構成など、そのユーザーがどのような人物なのか具体的に思い描けるように人となりまで仮定することをおすすめします。
これらの仮定は、完全な空想ではなく、既存顧客のデータや市場調査、競合調査などを基に、可能な限りデータを根拠に行いましょう。
また、そうやって仮定したターゲットが、どのような課題を持ってLPにたどりつき、LPを閲覧するうちにどのような感情・思考の変化を経てCVに至るのかも考えます。このように、自社にとって代表的なターゲット像を仮定することをペルソナ設定といいます。
実際にLPを運用してみて、LPを訪問するユーザーとペルソナ設定に乖離がある場合、LPを改善する前にペルソナ設定自体も一度見直してみたほうが良いかもしれません。
セッション数が少ない場合、そもそもLPにユーザーがあまり訪問していないので、LP改善前に、LPへ誘導する広告などの改善を行う必要があります。LPへの集客は広告が基本ですが、広告以外でもLPへの誘導を行っている場合は、それも見直します。
LPへの誘導にはリスティング広告やディスプレイ広告がよく使われます。
リスティング広告では、キーワード選定が非常に重要です。ペルソナ設定で仮定したユーザーの検索ニーズが高いキーワードを選定できているか、またそれらのキーワードを使った効果的な広告文を作成できているか見直しましょう。広告文の限られた文字数のなかで、ユーザーが抱いているであろう課題を解決できることを重視して訴求します。
ディスプレイ広告では、キーワード選定とともに、広告を配信するユーザーの設定が重要です。ペルソナ設定とLPの内容を基に、最適な設定を行いましょう。
また、LPの誘導にSNS広告も活用されるようになっています。SNSの種類による違いもありますが、SNS広告ではターゲティングを細かく行えることが多いので、ペルソナ設定と実際の運用データに基づき、効果的なターゲティングを探りましょう。
【参考】課題別・リスティング広告を改善する12の基本ポイント解説
セッション数はあるのに平均滞在時間が短く、LPを訪れてすぐに離脱するユーザーが多い場合、LPへ誘導する広告とLPの内容に大きな乖離が生じている可能性があります。
つまり、広告を見て興味を惹かれLPを訪れたのに、「広告で言っていることと違う」と多くのユーザーに思われているということです。特に、ユーザーがページを訪れて最初に目に入る部分である「ファーストビュー」が重要です。
広告のキーワードや広告文とファーストビューが同じ内容になっているか、「関係ないページに来てしまった」とユーザーに思われるような文言や画像になっていがないか確認しましょう。
LP改善チェックポイント5)ファーストビュー
LPを訪れたユーザーがそのままLPの閲覧を続けるかどうかは、ファーストビューで決まります。ファーストビューの基本構成は、「キャッチコピー+画像+CTA」です。
キャッチコピーは、ペルソナ設定で仮定したユーザーが抱えているであろう課題・悩みの解決を訴求するものにします。商品・サービスの特徴や機能などを訴求したくなるかもしれませんが、ファーストビューではまずはユーザーの課題・悩みにより沿い、その後のコンテンツで商品・サービスがどのようにそれを実現するのかを訴求しましょう。
画像は、商品・サービスの利用イメージを想起させるものが効果的といわれます。ファーストビューにフリー素材をそのまま使用することはできるだけ避けたほうが良いでしょう。
CTAについては、はじめて商品・サービスを知ったユーザーの場合、ファーストビューでいきなりクリックすることは少ないかもしれませんが、商品・サービスや会社の名前を知っていて検索したユーザーの場合、ファーストビューからそのままCTAをクリックすることがあります。
また、資料請求・ダウンロードなど、ユーザーにとってハードルの低いCTAであれば、とりあえずクリックすることもあるかもしれません。
購入・申込や問い合わせのような、ややハードルが高いCTAの場合、それをなるべく感じさせないように文言を工夫します。たとえば、「購入」ではなく「カートに入れる」、「問い合わせ」ではなく「相談可能日を確認する」など。
ボタンを押したからといっていきなりアクションに移るのではなく、ユーザーに選択の余地があることを感じてもらうことが大切です。
CTAは、ファーストビューに加え、LPの途中と最後にも適宜設置します。
LPの途中に設置する場合、LPを閲覧していてアクションを起こしたいと考えるユーザーが、LPをスクロールしてボタンを探さなくて済むような位置に設置しましょう。
また、CTAの色やフォント、文言によってもCVRは変動します。2パターンのLPをランダムに表示するA/Bテストで、より効果的なCTAを探りましょう。
ターゲットが似ていると思われる他社の商材のLPで、どのようなCTAが使われているかも参考になります。
LP改善チェックポイント7)キャッチコピー
ファーストビューのキャッチコピーに加え、LPのコンテンツごとのキャッチコピーも重要です。画像とキャッチコピーでユーザーの興味関心を惹き、読んでみようと思ってもらうことで、そのコンテンツでのページの離脱を防げます。
キャッチコピーは、ファーストビューと同様、ペルソナ設定に基づき、LPを読み進めるユーザーの思考・感情の変化に沿って作成します。
LP全体でキャッチコピーに一貫性があるかどうかもチェックしましょう。
LP改善チェックポイント8)コンテンツの構成
LPのコンテンツは、ファーストビューから始まり、商材により多少の違いはありますが、以下のような構成が基本です。足りないコンテンツがあれば補いましょう。
ファーストビュー
↓
ユーザーの課題・悩みに共感する
↓
課題・悩みを解決する商材の特徴・メリットを紹介
↓
事例・実績・お客様の声などで信頼度を高める
↓
導入の流れ・料金プランでユーザーの疑問を解決
↓
QA・サポートなどで不安の解消・アクションへの後押し
↓
CTA
繰り返しになりますが、重要なのが、ペルソナ設定に基づき、ユーザーの感情・思考の変化に沿ったコンテンツを作成することです。特に、いきなり商材の特徴・メリットを紹介するのではなく、まずはユーザーの課題・悩みを受け止める、それを解決できると思ってもらうことが大切です。
また、一人のユーザーとしてLPを閲覧したとき、違和感のある構成になっていないかチェックしましょう。ユーザーはなぜこのLPを訪れ、どういった感情・思考の変化を経ることでCVに至ることになるのか、それを考えた上でコンテンツを作成します。
LPの基本構成については、以下の記事も参考にしてみてください。
【参考】BtoBのランディングページの基本構成と制作依頼の進め方
LPのセッション数も平均滞在時間も想定通りで、しっかりとコンテンツは読まれているはずなのにCV数が伸びないという場合、入力フォームに問題がある可能性があります。
入力フォームを改善するには、EFOツールがおすすめです。EFOは「Engry Form Optimaization=エントリーフォーム最適化」の略です。
入力フォームの代表的な改善ポイントとしては、以下があります。
利用しているフォームのシステムによって、対応できることとできないことがあるとは思いますが、できる限り対応しましょう。
また、ボタンをクリックして入力フォームに遷移するよりも、LP内に入力フォームが埋め込まれていたほうがCVにつながりやすいといわれます。
LP改善チェックポイント10)限定表現
期間限定、人数限定、数量限定など、CVについて何らかの特典をつけられる場合は、CTAと合わせて訴求しましょう。たとえば、「問い合わせ」をCVとして、「5社限定で無料相談対応中」などが限定表現にあたります。
こういった限定表現は、CTAをクリックすることをなんとなく迷っているユーザー、後で考えようと思っているユーザーなどに対して、今クリックをする後押しとなります。
なお、実際はいつでも利用できる特典を限定と表現するなど、偽りがあるのはNGです。また、特典の対象期間が過ぎたり対象人数に達したりした場合など、LPにリアルタイムに反映させるよう気をつけましょう。
お客様の声や導入実績、事例、受賞歴などは自社や商材の信頼性を高め、権威づけとなり、ユーザーがはじめて目にする商材への不安を和らげます。まだLPに載せていないものがあれば、追加しましょう。
数字や一文で短く表すことのできる導入実績数や受賞歴などは、ファーストビューに加えると効果的です。文字だけでなく王冠などのマークも使って分かりやすくデザインします。
お客様の声や導入事例は、LPの半ばに入れて商材に興味関心を持ったユーザーにしっかりと読んでもらい、CVへと後押しするような構成にします。
LP改善チェックポイント12)表示速度
どんなに良い内容のLPでも、表示速度が遅いだけで、ファーストビューさえ閲覧されずに離脱されてしまうかもしれません。
LPの表示速度を上げるために重要なのが、画像のファイルサイズです。上限200KB程度を目安に、不自然でない範囲でできるだけファイルサイズを小さくすることをおすすめします。
画像のファイルサイズを小さくするには、画像圧縮ツールが便利です。無料で使えるツールも多く、たとえばGoogleが提供する「Squoosh」、その操作の簡単さからよく利用される「TinyJPG」「Optimizilla」などがあります。
また、表示速度をチェックするのに便利なツールが、Googleが提供している無料のツール「PageSpeed Insight(ページスピード インサイト)」です。表示速度に影響を及ぼしているさまざまな項目もチェックできます。
LPに限らずWebサイト全般に当てはまりますが、スマートフォンでのインターネット利用が主流になるなかで、Webページをレスポンシブデザインで制作することの重要性が増しています。
レスポンシブデザインとは、デバイスの画面サイズに合わせて表示されるWebページの設計です。レスポンシブデザインへの対応可否は、LPを制作するプラットフォームによって決まります。
また、LPの制作はPCで行うことがほとんどかと思いますが、スマホやタブレットでどう見えるかのチェックも行い、見づらいコンテンツがあれば改善しましょう。
LPは広告と連動して運用されることが多いため、通常のWebサイトのように競合のLPをすぐに見つけることは難しいかもしれません。
しかし、自社が狙っているキーワードで表示される他社のLPをチェックすることで、ターゲットが競合する商材のLPをチェックできます。自社のLPと比較したときに、自社のLPに不足している点や、他社のLPで魅力的だと思える点などがあれば、取り入れましょう。
また、以下の記事ではBtoB商材のLP事例や、さまざまなLP事例を検索できるWebサイトを紹介していますので、参考にしてみてください。
【参考】BtoB商材のLPおすすめ事例10選:2022年10月版
見込み顧客獲得をCVとしてLPを運用する場合、見込み顧客を最終的に成約につなげないと売上にはなりません。
LPでCVを十分に獲得できているのに売上が上がらないという場合、見込み顧客へのアプローチや、そもそもLPで獲得している見込み顧客のニーズが商材と合致しているのかを見直す必要があります。
LPを運用するなかで、それが売上につながっているかも追いかけるようにしましょう。
LPの問題点と改善案について、専用のツールを活用することで効率的に導き出すことができます。ここでは、LP改善(LPO)に役立つツールを紹介します。
LPを制作するプラットフォームによっては、外部ツールを利用せずともこれらのツールの機能を備えているものもあります。また、LPOツールとして、複数の機能を兼ね備えているツールもあります。
ヒートマップは、Webページのどの箇所がよく読まれ、どの箇所があまり読まれていないのかを、色分けにより可視化できるツールです。
LPのセッション数はあるのに平均滞在時間が短い、あるいはCVRが低い場合、LPのコンテンツで問題がある箇所を見つけ出すのに役立ちます。
ヒートマップツールの分析を基に、たとえば、よく読まれている箇所にCTAを設置したり、よく読まれているのにCVにつながっていない場合はCTAを見直したり、あまり読まれていない箇所のコンテンツやそこに至る構成を見直すなどのLP改善が考えられます。
よく利用されているヒートマップツールの一例をあげると、「UserHeat(ユーザーヒート)」や「SiTest(サイテスト)」、「ミエルカヒートマップ」などがあります。
EFOツールは、「LP改善チェックポイント9」でも解説した通り、フォームを最適化するためのツールです。フォーム入力でユーザーが離脱しやすい箇所を改善できます。
LPのセッション数が十分にあり、コンテンツもきちんと読まれているようなのにCVRが上がらない場合、EFOツールなどを使ってフォームを改善してみましょう。
よく利用されているEFOツールの一例をあげると、「EFO CUBE」「GOLIRA EFO」などがあります。
表示速度計測ツールは、「LP改善チェックポイント12」でも解説した通り、Webサイトの表示速度を計測するツールです。表示速度が遅いと、LPのファーストビューすら見ることなく離脱するユーザーが増えてしまいます。
表示速度計測ツールでよく利用されているのが、Googleが提供している無料のツール「PageSpeed Insight(ページスピード インサイト)」です。表示速度に影響を及ぼすさまざまな項目もチェックできます。
画像圧縮ツールも、「LP改善チェックポイント12」で解説しましたが、Webページに掲載する画像のファイルサイズを小さくして、ページの表示速度を上げることに役立ちます。
画像のファイルサイズは、上限200KB程度を目安に、不自然でない範囲でできるだけ小さくしましょう。
よく利用されている画像圧縮ツールの一例をあげると、Googleが提供する「Squoosh」、その操作の簡単さからよく利用される「TinyJPG」「Optimizilla」などがあります。
A/Bテストツールでは、2パターンのLPをユーザーにランダムに表示して、より良いLPを調べることができます。
LPの改善は、一カ所ずつ行うのが基本です。そして改善後はABテストでその改善で本当に効果があるのかをチェックして、より良いLPへと改善を重ねていきます。
よく利用されるABテストツールの一例をあげると、「DLPO」「Optimizely」などがあります。
【ディレクターよりアドバイス】
西原 小晴さん
セールスライター/マーケティングディレクター
LPを改善しようと思った時、おすすめなのは施策を「ひとつずつ」やっていくことです。広告の数値が思わしくない場合、広告文・広告のクリエイティブ・LPのファーストビューと変えてしまっては、どの施策が効果あったのかが分からないからです。
ただ、それだと時間がかかってしまうので、広告のクリック率が悪くないのにCTAが上がらない時は、直帰率を見たり、ヒートマップをチェックしましょう。直帰率が高い場合は、ファーストビューの変更を、ヒートマップで色が変化していれば、導線の変更をしていきましょう。
また、ファーストビューもデザインを変更するのか・文言(キャッチコピー)を変更するのか迷うところだと思います。これに正解はありませんが、すでにCVしたターゲットの属性を見て判断することもできます。
LP担当者の方は、一人で判断せず、社内の人と意見交換をしたり、デザインを外注した場合はデザイン会社に意見を求めたり、いろいろな視点からLPを見ていくようにしましょう。
【ディレクタープロフィール】
セールスライター/マーケティングディレクター
西原 小晴
京都府立大学農学部出身。前職は業界3位の印刷会社にて営業、設備管理、ISO、化学物質管理のシステム開発&管理を行う。退職後、化学・建設・環境法規制などの知識を活かして大手企業のコンテンツマーケティング記事の企画、編集、執筆を行う。
現在はコンテンツ制作、リードナーチャリング、セールスライティングをメインとするWEB施策全般を行うコンテンツマーケティングディレクターとして活動中。
【事例紹介】BtoBの営業支援会社のコンテンツマーケティング支援
LP運用で、最初から思った通りの成果が出ることはなかなかありません。基本を押さえながらもまずは運用を始めてみて、そのデータを基に改善を重ねることで成果をどんどん高めることができます。
現在、LPを運用していて成果が思わしくないという場合、本記事のチェックポイントを参考に、自社のLPの問題点を洗い出してみてください。
問題点がなんとなく分かるようなものの明確化できない、問題点は分かったものの具体的にどう改善すれば良いか分からない、広告運用と合わせて全体的な改善を行いたいなど、自社だけでは対応が難しそうだと感じる場合、お気軽にご相談ください。
ディレクターバンクのLP制作&広告運用代行サービスでは、多様なWebマーケティング人材の中から御社に最適な人材をアサイン、成果を出すためのサポートを行います。