BtoBのランディングページの基本構成と制作依頼の進め方
BtoBのランディングページ(LP)制作にあたっては、自社で運用する場合はもちろん、外部パートナーに依頼する場合も、押さえておくと良い基本があります。
本記事では、LPを制作して広告出稿などにより新規リード獲得施策を行いたいBtoB企業のWebマーケティング担当者向けに、LPの基本構成と制作依頼のポイントを紹介します。
本記事を読むことで、LP制作においてワイヤーがひけるレベルのノウハウを得ることができ、LPの制作および運用を外注する場合も自社のリクエストをスムーズに伝えることができるようになります。
BtoBのランディングページの企画時に必要な点
BtoBのランディングページ(LP)の企画では、次の点を押さえた上で進めましょう。
1.ターゲットを明確にする
LP制作にあたり最初に行うべきなのが、ターゲットの明確化です。ターゲットを明確化することで、どのようなLPの内容が良いのか絞っていくことができます。
BtoBのLPは、多くの場合、企業の担当者をターゲットとします。商材によっては、経営者など決済権を持つ人をターゲットにすることもあります。
その上で、以下のような点からターゲットを明確化していきます。
- 業界業種
- 企業の規模
- 担当者の社内での役職・立ち位置
- LPに至る情報収集をしている背景
- 業務における課題・悩み
なお、ターゲットの明確化にあたっては、既存顧客の分析や市場調査、競合調査などを行い、データを基にしましょう。
2.CVポイントを明確にする
BtoBのLPでは、次のようなCVが考えられます。
- 問い合わせ
- 無料体験・無料デモ申し込み
- 見積もり請求
- 資料請求
- ホワイトペーパーダウンロード
問い合わせがもっとも難易度が高く、以下、難易度が高い順となっています。CVの難易度が高いとCVR(コンバージョン率)は下がりますが、一方でCV後に商材の購入・導入に至る可能性が高くなります。
CVに何を設定するかによって、最適なLPの内容やCVに至った後のユーザーへのアプローチが異なります。
たとえば、問い合わせや無料体験・無料デモ申し込みを行なったユーザーは、LPで紹介している商材への興味関心が高く、すぐ商談につながる可能性が高いと考えられます。
一方、資料請求やホワイトペーパーダウンロードを行なったユーザーは、まだ情報収集の段階ですぐに商談につながる可能性が低く、フォローメールやメールマガジン配信などで顧客との接点を保ちながら、見込み顧客の育成=リードナーチャリングを行う必要があります。
3.ファーストビューで直帰を防ぐ
LPで非常に重要なのが「ファーストビュー」です。ファーストビューとは、ユーザーがWebページを訪問したときに最初に目に入る範囲の画面のことです。
ファーストビューにおいて、ユーザーに「このページに自分の知りたいこと・興味のあることが書いてある」「このページを読むことが自分にとって役立つ」と思ってもらえないと、ユーザーはページを離脱して直帰してしまいます。
直帰されないファーストビューを制作するには、先述したターゲットの明確化が重要です。ターゲットが抱えているであろう課題・悩みに対して、それを解決できること、ターゲットにとってメリットがある情報であることをファーストビューで明示する必要があります。
4.ユーザーの感情・思考に沿った内容・構成で離脱を防ぐ
ファーストビューに続いて、CVに至るまでのユーザーの疑問や不安の解消、ファーストビューで提示した課題・悩みの解決やメリットの裏付け、そしてCVを後押しする情報を分かりやすく示します。
具体的には、次のようなコンテンツを組み合わせます。
- 商材の強み・特徴
- 実績・事例・お客様の声
- 料金表・シミュレーション
- メディア掲載情報
- LPならではの特典
ここで重要なのが、ユーザーの感情・思考に沿った内容や構成にすることです。商品の機能や強みの説明はもちろん必要ですが、それがユーザーの悩みや疑問、不安を解消するものであることが重要です。
LPを読み進めるなかで、ユーザーが商材への興味・関心を高めながら、安心してCVに至れる内容・構成を考えましょう。
5.データを基に仮説を立て検証する
LPの運用で効果を出すためには、データを基に改善を重ねていく必要があります。それをLPO(Landing Page Optimaizaiton=ランディングページ最適化)といいます。
LPの効果測定には、次のような数値が使われます。
セッション数:LPへのユーザーの訪問数。
CVR(コンバージョン率):セッションのうちCVに至った割合。
滞在時間:LPを訪れたユーザーがLPにとどまっていた時間。
直帰率:セッションのうち、リンクやCTAをクリックせず離脱した割合。
CPA:「広告費÷CV数」で算出される、CV一件あたりの獲得単価。
LP制作ツールやLPOツールには、通常、これらを測定できる機能がついています。また、ツールによっては、LPのどの箇所がよく読まれているのかを色分けして可視化するヒートマップ機能が利用できるものもあります。
上記の数値に基づき、LPのどこを改善すれば良いのか仮説を立て、実際に改善を行ない効果を検証します。仮説検証では、改善前と改善後などの2パターンの効果を比較するABテストがよく行なわれます。
BtoBのランディングページの基本構成
BtoBのLPでは、次に紹介するような構成が基本です。商材によって構成の順番や内容が多少変わることはありますが、基本はこの構成で内容を考えることで、過不足ない内容のLPを制作することができます。
1.「ファーストビュー」で興味関心を引く
▲ディレクターバンクのLPファーストビュー例
ファーストビューの基本となる要素は「キャッチフレーズ+イメージ+CTAボタン」です。必要に応じて、キャッチフレーズや商材をさらに説明するテキストや、商材の実績や受賞歴など信頼性を高める情報も入れます。
ファーストビューでは要素を盛り込みすぎないことも大切です。LPを訪問したユーザーに、LPの閲覧および紹介している商材により得られることを一目で理解してもらい、そのことに興味関心を持ってLPの閲覧を続けてもらう必要があります。
そのために、分かりやすいキャッチフレーズを検討して、人物やイラストなどのイメージも活用しましょう。
2.「課題・悩み」への共感で自分のことだ!と思ってもらう
▲ディレクターバンクのLP例
ファーストビューの次に、「こんなお悩みをお持ちの方に」「こんな課題を解決したい方に」「○○な方に」といった内容で、ターゲットとするユーザーが抱えているであろう課題・悩みを提示します。ここでは、ユーザーに共感してもらい、「このLPは自分に向けたものである」「このLPを読むことで課題・悩みの解決につながるかもしれない」と思ってもらえる内容が必要です。
3.「商材の特徴」「メリット」で課題・悩みの解決を提案
ここで具体的に商材の紹介が入ります。「○○とは?」で商材や、商材に関連する知識の説明がよく見られます。
重要なのが、ただ特徴を紹介するのではなく、前述のユーザーが抱えているであろう課題・悩みに対して、その商材を利用することでどのように解決できるのか、その商材を導入することはユーザーにどのような「メリット」をもたらすのかを説明します。
この要素はボリュームが大きくなりがちなので、箇条書きやグラフ、イラストなどを活用して、ユーザーに伝えたい内容が端的に伝わるよう工夫しましょう。最近では動画を活用するLPも見られます。
4.「実績・事例・お客様の声」で信頼を獲得する
▲ディレクターバンクのLP例
よほど知名度のある企業や商材でない限り、LPを訪れたユーザーは、そこで紹介されている商材やそれを提供している企業がどの程度信頼できるのか知識を持っていません。そこで、LPで紹介している商材やそれを提供している自分たちの信頼性を示す、客観的な情報を提示します。
それが、「導入○○社」「シェア○○%」といった数字や導入企業のロゴなどによる実績、具体的にどのような業種業界のどのような課題・悩みを解決してきたのかという事例、導入企業からのコメントやインタビューなどのお客様の声です。最近は、動画でのコメントやインタビューを掲載しているLPも見られます。
実際の企業名や具体的な事例を掲載できたほうが信頼性は増しますが、それが難しい場合は企業名などの特定できる情報はぼかしながらも、実際にどういう課題・悩みを解決してきたのかが伝わるように工夫しましょう。
また、受賞歴やメディア掲載情報、認証なども信頼の獲得に効果的です。
5.「導入の流れ・料金プラン」で疑問を解消する
▲ディレクターバンクのLP例
ここまで読み進めたユーザーは、LPで紹介している商材について、程度の差はあるものの導入を検討する気持ちを多少なりとも持つようになっているはずです。そこで疑問として出てきやすいのが、実際に導入するとなるとどのくらいの時間がかかるのか、料金はどの程度かかるのかということです。
BtoBのLPでは、LPを訪問しているユーザ=意志決定者ではなく、LPで得た情報を決済権を持つ上長や関係者に共有して検討することがほとんどです。その場合に、検討材料となり得る導入の流れや料金プランについての情報を、ここで提供します。
ケースバイケースで異なるため決まった情報を提示しにくいという場合や、料金を公開していない場合も、最低金額の提示や、たとえばこういったケースであればこのくらいという目安を提示できると、ユーザーに検討してもらいやすくなります。問い合わせや資料請求後に料金についての情報を提供している場合は、その旨を説明しましょう。
6.「QA」「サポート」などで不安の解消と後押し
▲ディレクターバンクのLP例
ここまでの要素を入れた上で、まだユーザーが不安に思いそうな点があれば、それを解消してCVへと後押しする要素を追加しましょう。
たとえば、導入に際してよくある質問があればそれをQA形式で掲載する、導入前後のサポート体制を説明するなどは、不安の解消に効果的です。
高額な商材や、逆に競合よりも明らかにリーズナブルな商材は、なぜその料金になるのかという説明や、導入に際しての注意点などがあると、安心感につながります。
7.「CTA」でCVを獲得する
LPの最後には、必ずCVに至る「CTA」を設置します。LPの最後だけでなく、ここまでの各要素においてユーザーがCVにつながる可能性がある箇所に複数設置します。
CTAの色や添えられるテキストなどによってもCVRは変化するため、ABテストで最適なCTAを探りましょう。また、たとえば無料デモや初月無料、ホワイトペーパープレゼントなどの特典があれば、CTAと一緒に訴求します。期間限定などの表現も効果的です。
問い合わせをCVとする場合、LPの最後に問い合わせフォームを埋め込むことで、ページ遷移せずにそのまま問い合わせに移行できるため、離脱の防止にもなります。
BtoBのランディングランディンページの制作する際のアドバイス
【ディレクターよりアドバイス】
西原 小晴さん
セールスライター/
マーケティングディレクター
LPは「誰に 何を どうやって」がファーストビューで明確になるように作成します。
つい自社の商品やサービスを語りがちになってしまいますが、その商品やサービスを使うことで「どんな未来が得られるのか」を分かるようにしないといけません。
また、LPのゴールは常に一つです。「商品のお申し込みはこちら」「問い合わせはこちら」など幾つかのゴールがあると、ターゲットとなる企業様の中に迷いが生じ、「今すぐでなくてもいいか」と離脱につながる可能性もあります。
時折、LPに適した文字数は?と聞かれるのですが、LPは「どんな証拠があるのか(科学的データや統計データなどを提示)」「どんな実績があるのか(他社事例)」「どんな方法で欲しい成果が得られるのか(ツールやメソッド)」など、担当者によって反応する場所が違うため、長くある必要があります。1人の方は全部の文字を読むことはありませんが、どこが響くかが分からないため、必要なものは全て説明するためです。
LPの製作はたくさんの手間がかかりますが、テストができるという強みがあります。適宜ブラッシュアップをしていくことで反応の取れるLPとなっていきます。最初から100%を目指さず、まずは行動してみましょう。
【ディレクタープロフィール】
セールスライター/マーケティングディレクター
西原 小晴
京都府立大学農学部出身。前職は業界3位の印刷会社にて営業、設備管理、ISO、化学物質管理のシステム開発&管理を行う。退職後、化学・建設・環境法規制などの知識を活かして大手企業のコンテンツマーケティング記事の企画、編集、執筆を行う。
現在はコンテンツ制作、リードナーチャリング、セールスライティングをメインとするWEB施策全般を行うコンテンツマーケティングディレクターとして活動中。
基本構成をベースにPDCAを回そう
BtoBのLPの構成の基本は、本記事で紹介したように共通しています。
効果を出すために重要なのは、どれだけターゲットを明確化して、その思考や感情、行動の変化に沿った内容を考えられるかということです。データを基にしながら、その点を追求しましょう。
また、LPでは仮説を立て検証して改善を重ねることで効果を最大化できます。LPを制作して終わりではなく、そこからがスタートです。本記事で紹介した数字を測定して効果をきちんと検証しながら、要素ごとに改善を重ねていきましょう。
LPの制作や運用を外注する場合も、本記事で解説した内容を押さえておくと、依頼がスムーズに進みます。
ディレクターバンクの「HubSpotで作るLP制作プラン」では、世界120か国以上、12万社以上の企業で導入されている、マーケティング・営業・カスタマーサービスの統合型クラウドサービス「HubSpot」を使ってLP制作を代行します。
BtoBの新規リード獲得用のLP制作を行う他、リード獲得やリードナーチャリングに必要なHubSpotの各種設定、LP公開後の広告運用もワンストップで代行可能です。お客様のLP制作、Web集客のお困りポイントに合わせた柔軟な支援体制を実現します。