課題発掘から売上達成まで、企業の新規事業を多角的に支援する。Webプロデューサー 清水貴之さん
ディレクターバンク株式会社は、企業のWebマーケティングを顧客視点で最適化し支援する、企画・運用会社です。様々な分野の才能あふれるディレクター陣が、企業の担当者様とチームになって、日々Webマーケティング課題の解決に挑んでいます。
このコーナーでは、そんなディレクターバンク所属の多彩なWebディレクターにインタビュー。得意分野から個人的な趣味趣向まで、その魅力をご紹介します。
今回は、新規Web事業に乗り出す企業担当者を多角的に支援する、頼れるWebプロデューサー 清水 貴之(しみず・たかゆき)さんをご紹介します。
PROFILE
Webプロデューサー
清水 貴之(しみず・たかゆき)
愛知県のIT企業でキャリアをスタート。街中の自動車整備工場の社内システム導入・運用支援に従事。400件ものクライアントを掛け持ちし、町工場のIT担当として愛される存在に。その後、Web制作会社での自動車産業を中心とした企業Webサイト構築・ブランディング支援、ハウスウエディング会社の広報立ち上げを経て、大手IT企業へ転職。Webディレクター・プロジェクトマネジャーとして、自動車、アパレル、化粧品、製薬、百貨店のEC部門など、幅広い業界のWebマーケティング支援、オンサイトサービスを担当後、独立。現在は、愛知県の持ち家に住む妻子と離れ、単身赴任中。
町工場をDX! デジタル化支援で磨いた課題発掘力
――日本社会のDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれていますが、清水さんは先駆けて町工場のDXでキャリアをスタートされました。経歴を、紹介いただけますか?
清水さん:卒業後、愛知県でIT会社に就職しました。そこで、街中の自動車整備工場向けに社内システムの営業兼教育サポートを行いました。個人事業主も含め400件くらいのクライアントを任せられて、平日休日、昼夜を問わずサポート電話に対応してました。
けっこう面白かったんですよ。町工場のおじちゃん、おばちゃんが、夜や週末に経理をやろうと思ってパソコンに向かったけど、うまくいかない! 表示されない! といって電話してくるんです。よく聞いてみると、Windowsのツールバーが縦になっちゃってたみたいなことだったりして(笑)
パソコンに不慣れな相手の困りごとを、話を引き出して、何が起きているかを想像して、解決方法を相手が分かるようにかみ砕いて伝える。課題発掘能力が磨かれました。
そこでの成功体験で、若かったのもあって、かなり調子に乗ってましたね。自分の好きなように働いて、好きなようにやるというところがありました。当然、転職先のWeb制作会社では通用せず、気が利かない、社会人としてのマナーがなってないとめちゃくちゃ怒られながら鍛えなおされました。ビジネスの現場で、組織の中で複数のステークホルダーを調整し、課題を解決するためのコミュニケーションや方法論を学びました。
Web制作会社では、Webサイトを活用した企業のブランディングや求人の支援を行っていましたが、企業のブランディングを考えたときに、Webだけでは完結しないということを実感し、ハウスウエディング会社での社内広報のしくみ作りを経て、より大きな枠組みで企業の支援ができる東京の大手IT会社に移りました。
――東京のIT会社では、どういった業務に従事されたのですか?
清水さん:在籍した10年間の半分は客先で仕事をしていました。いわゆるオンサイトサービスというものですが、クライアント企業のオフィスに常駐して、様々な課題対応にあたります。
業界も幅広く、自動車、アパレル、化粧品、製薬、百貨店や小売りなど。例えば、メールマガジンを顧客向けに配信したいけれど、制作する要員がいないので困っているというクライアントの現場に、メルマガ要員として入るわけです。色々工夫してやっているうちに、半年くらいでだいたいうまくいく。そしたら、次の課題は? となる。
別の例では、とあるネット通販事業部で支援していた際、リアルの接客が苦手な社員の先頭に立って、店頭でネット会員登録キャンペーンのチラシ配りをしたこともありました。
現場にいると、課題は降ってくるし、すぐ見つかります。それを、いかに自分の知見と工夫と実践で解決していくか。その繰り返しですね。
課題を見極め、必要な打ち手を繰り出す
――現在は独立されて、フリーランスとして企業の支援をされていますね。どのような支援をされているのですか?
清水さん:先にお話ししたIT企業在籍中に、紹介されて新規事業に取り組もうとされている企業に移りました。そこで改めて新規事業成功のためのITのしくみや組織作りにやりがいを感じ、独立しました。
現在は、大きくふたつのプロジェクトに取り組んでいます。ひとつは、もともとB2Cの商材ビジネスをされていた企業のB2Bへの販路拡大の支援。ふたつめは、大きくビジネスドメインの異なる新規事業に取り組まれている企業の支援です。
B2CからB2Bへの拡大では、企画顧問として、B2Bの見込み顧客に刺さる企画の立案から、法人顧客に対応するための組織作り、人材育成まで幅広く支援させていただいています。
ビジネスドメインのシフトを目指す企業では、新規事業立ち上げから一年半ほど経過したタイミングで入ったのですが、基礎的な売り上げがなく赤字の状態で。目下、戦略から来月の目標設定の見直し、持続的にコンバージョンを獲得するための企画・運用などを行っています。
そもそも、現場の担当者にとっては、「なんかわからないので、清水という人が支援してくれるみたい」くらいのテンションなわけです。そんな状態からスタートして、会話を通して課題を紐解き、対応策を一緒に考えていく。Webサイトのアナリティクスデータの評価もきちんと行い、それまで「なんとなくアクセスが増えてたかもね」というじわじわとした思いを、数値として実感することで、やっていたことは正しかったんだとモチベーションも上がります。
私の中には、次にやりたいこと、打ち手が見えている。現場の担当者に納得してもらって一緒に進めるよう、工夫を凝らします。
顧客理解が、要。
――企業のマーケティング支援にあたり、支援プロセスにおいて重視していることは何でしょうか?
清水さん:まず第一に、顧客理解。お客様を理解することです。
新規事業に向かっていく企業というのは、既存事業の将来不安、危機感から事業を拡大しようとされているケースが多いです。そのような状況では、往々にして既存のノウハウを捨てて新しいことにチャレンジしようとしてしまいがちです。
そうではなく、新しい事業の方向に、自社の資産、ノウハウをなんらかのかたちで連携して絡めていくことで、相乗効果で成功軌道に乗せることがポイントになります。そのためには、もともとこの会社はどうだったか、どう顧客をとってきていたのか。そこの部分の理解が非常に重要になると考えています。
第二には、現状の事業の理解です。
新事業を成功させるためには、経営陣に正しい投資判断をしていただくことが必要です。新事業への投資判断のための事業の現状、その課題・問題点を整理することが欠かせません。
私の仕事は、翻訳家のようなものだなとよく思います。実現したいことをいかに実現するか、向かいたい方向へどうやって到達するか。様々な関係者の意図を汲み、伝わりやすいように翻訳して伝え、実現する。課題を最適化してアウトプットすることが、私の役割です。
どん底から這い上がった知恵に、ヒントがある
――注目しているマーケティングツールやサービスはありますか?
清水さん:これというサービスは特にないのですが……、私ヒップホップカルチャーが好きでして(笑) どん底から這い上がったサクセスストーリーを調べるのが好きです。
逆境から、どのように立ち上がったか、突破したか。その創意工夫やアイデアの数々は、私にとって企業を支援していくための最高のマーケティングツールです。
私自身、逆境の中から活路を見出すお手伝いができたことがあります。その時は、その企業の誤解から生じた悪評が広がり、悪いことを書かれたコンテンツがSEOでトップシェアを取ってしまったこともあり、社員のモチベーションが危機的な状況になっていました。その状況を逆手にとって、組織のトップからのメッセージを伝えるWeb上のスペシャルコンテンツを作成し、Web上で公開。それを見た社員本人というよりも、その社員のまわりの方々が、「お前の会社、すごいなあ!」と。それで、社員本人たちも誇りを取り戻し、モチベーションを上げることができました。
Webには、人の気持ちを変えちゃうくらいの力があるんだ! と、あらためてそのすごさを実感した出来事でした。
夢は、自身の新事業立ち上げ
――それは胸アツな成功体験ですね! 清水さんの楽しいトークと相まって、当時の熱狂が伝わってきます。それでは、今後の夢がありましたら教えていただけますか?
清水さん:私、車が好きで、車に絡むことをしたいと考えてきました。余談ですが、中東向けのカーナビのアイコン制作のプロジェクトを勝ち取ったときは燃えましたね(笑)
それで、今後ですが、独立もしましたし中古車販売の事業を始めたいと考えています。オンラインで、パーツを選んでパーソナルオーダーできる販売のかたちです。ミニクーパーのクラシックミニから始めたいと考えています。2年くらいでかたちにしたい!
そのモヤモヤ、ご相談ください。
――出資者募集中ですね(笑)最後に、Webマーケティングでお困りの企業担当者様へメッセージをお願いします。
清水さん:新規Web事業の立ち上げなどで、「何をやりたいのか、何に困っているのか分からない」とモヤモヤしているなら、その状態でいいので、ぜひ相談していただければと思います。
ガチガチに出来上がった状態よりも、むしろそのほうが私にとっては得意な状況です(笑)お気軽にご相談ください。
撮影:原地 達浩