本記事では、オウンドメディア運営においてぶつかりやすい課題6つをピックアップして、各課題についてまず何から改善したら良いかを解説します。オウンドメディアを運営しているものの、思ったような成果につながらない、社内で成果を報告するときに困っているという担当者の方に役立てていただけるはずです。
オウンドメディア運営では、最初に、オウンドメディアを運営する目的とターゲットを明確にしましょう。これにより、記事のネタを考える際の方向性が定まります。
オウンドメディア運営では、以下のような目的がよく掲げられます。そのオウンドメディアを運営することで、どのような効果を期待しているのか、考えてみましょう。
オウンドメディア運営の目的が明確になったら、次に、どのような人にもっともそのオウンドメディアを訪れてもらいたいのか、ターゲットを設定します。ターゲット設定では、以下のような項目を明確にします。
年齢・性別・居住地域などの属性だけでなく、その人物がどのような考えや感情を抱き、どのように生活しているのか、具体的な人物像を思い描けるくらいに設定を明確化します。これを「ペルソナ設定」といいます。
ペルソナ設定は、まったくの空想で行うのではなく、既存顧客や会社サイト・商品サイトへの訪問ユーザー、市場のユーザー層などのデータを基に設定します。
また、オウンドメディア運営の目的を踏まえ、どのような悩みや課題を抱えている人に記事を届けたいのか明確にします。これが、記事のネタのヒントになります。
検索キーワードには、ユーザーが知りたいことが端的に表れています。
会社サイトや商品・サービスサイトがある場合、そのサイトにどのようなキーワードで流入が多いのか調べてみましょう。また、検索エンジンのサジェスト機能や、キーワード選定ツールを使って、会社や商品に関連する言葉についてどのようなキーワードの組み合わせで検索が多いのか、調べてみましょう。
2~3個のキーワードからなる、検索ボリュームが1,000~10,000程度のものが、記事のネタとしておすすめです。また、SNSで検索の多いハッシュタグも参考になります。
カスタマーサポートや営業など、日常的に顧客と直接やり取りをしている部門には、顧客からよく質問されることや、顧客の興味関心が高いことなどの情報が蓄積されています。そういった情報は、記事の良いネタになります。
また、商品・サービスの開発に関わる部門には、業界や商品・サービスに関する独自の情報が眠っている可能性があります。業界では当たり前だけど一般的にあまり知られていないことや、他社と差別化できる強みなどに、記事のネタとなる情報があるかもしれません。
よくある課題その2「記事の品質がバラバラ」
記事の品質を保つための土台として、以下のような項目をマニュアル・ルールとして定め、オウンドメディア運営に関わるメンバーに適宜共有します。
オウンドメディアのコンセプトは、目的・ターゲットに基づき、そのオウンドメディアが誰にどのような情報を発信していきたいのか、読者にどのようなメリットを提供していきたいのかを定めます。
トンマナは、そのオウンドメディアがどういった世界観を持っているのかを表しています。記事執筆に直接関わる項目ではありませんが、記事をどういったテイストで書くべきかの参考になります。
記事執筆のルールでは、細かなことを定めていますが、こういった細かなところを統一することが、記事の品質にも影響します。また、調査記事は参考にした記事に似通ってしまいがちなので、独自性を出せるよう、参考情報の扱い方には注意しましょう。
各記事の作成にあたっては、まず、どんなキーワード検索でその記事を上位に表示させたいのか、狙うべきキーワードを設定した上で、構成案を作成します。構成案では、以下のような要素を定めます。
このような構成案を作成することで、記事の内容の矛盾や話の展開が分かりにくさ、結論があやふやになることなどを防げます。構成案は記事の執筆者自身が作成することもあれば、編集者や構成案作成の担当者が別途作成することもあります。
ライティングを外注する際も、構成案の作成を社内で行うことで、品質を安定させやすくなります。
記事を作成したら、記事執筆者以外がチェックを行います。誤字脱字や文章の分かりにくい箇所、説明が間違ってている箇所など、第三者の目を通したほうが気づきやすくなります。その際、マニュアル・ルールを踏まえてチェックを行うようにします。
チェック後は記事執筆者に一度戻し、必要な修正を行った上で再度チェックを行います。修正箇所を確認することで、記事品質の向上も期待できます。十分なチェックを行うために、記事作成と公開は、チェックと修正があることを踏まえたスケジュールを立てましょう。
オウンドメディアの主となる流入経路は自然検索です。そのため、PVを伸ばすにはSEO対策をしっかりと行う必要があります。
各記事に設定した狙うべきキーワードが、タイトルや小見出し、記事本文などに不自然でない程度に使われているか確認しましょう。また、記事の内容の独自性や、ユーザーにとっての有益性もSEOに影響するといわれます。
オウンドメディア全体のSEO対策については、Googleが発信している「検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド」という情報も参考になります。
なお、SEO対策はすぐに効果が出るものではないため、記事を公開してから1~3ヶ月程度は推移を追いましょう。オウンドメディア全体については、半年~1年程度運営した上で、数字を判断します。また、良質な記事が増えることで、オウンドメディアそのもののSEOが強くなります。
▲OGPの例
SNSも、オウンドメディアの有力な流入経路です。SNSを運用している場合、オウンドメディアの記事をシェアしましょう。また、各記事について、上画像のように、SNSでシェアしたときに表示される画像や説明文、URLなどの情報=OGPを正確に設定しておきましょう。
SNSを運用していない場合、オウンドメディア運営と合わせてアカウント開設を検討してみてください。SNSを活用できれば、オウンドメディアの良質な記事をSNSで発信することでフォロワーを増やし、SNSで発信することでオウンドメディアへの流入を増やすという相乗効果が期待できます。
オウンドメディア運営の目的が企業/商品・サービスの認知向上や新規顧客獲得であったとしても、メルマガなどで既存顧客にもオウンドメディアを紹介することは重要です。PVが増え、場合によってはSNSでシェアしてもらえる可能性もあり、新規ユーザーに届くきっかけになるかもしれません。
企業/商品・サービスのブランディングや理解促進、既存顧客との関係性育成を目的とする場合は、なおさらメルマガなどでオウンドメディアの紹介を行いましょう。
また、会社サイトや商品サイトを別途運営している場合は、そこにオウンドメディアのバナーやリンクを貼ることで、流入の機会を増やせます。
Web集客については以下の記事も参考になります。
◆Web集客の方法とは?自社に合ったWeb集客の選び方、サービス、勉強方法を一挙紹介!
購入や申込、問い合わせといったユーザーがアクションを起こし、コンバージョン(CV)に至るときにクリックするボタンやバナーなどを「CTA」といいます。
PVは伸びているのにCVが増えない場合、まず、記事の内容からCTAクリックにつながるようにうまく導線が設計されているか、CTAの配置を見直しましょう。記事の最後には必ずCTAを配置しますが、記事が長い場合などは、記事の途中にも適宜CTAを配置します。
CTAの文言や画像によってもCV率が変わるので、テストをしてもっとも効果的なCTAを探りましょう。
PVが伸びており、記事の滞在時間も長く、しっかり読まれているはずなのにCVが増えない場合、記事を訪れるユーザーに対してCV設定が適切でない可能性があります。
たとえば、記事の内容としては、情報収集や商品・サービスを認知する段階のユーザーが訪れるのに、CVとして商品・サービスへの申込を設定しているなどです。こういった場合、CVを変更するか、CVに合わせた記事を増やすかいずれかの対応が必要です。
すでにその記事でPVが取れている場合は、その記事についてはCVの変更が望ましいと考えられます。たとえば、資料請求などのハードルの低いCVに変更して、そこで取得したユーザー情報を基に、顧客育成を行いましょう。
オウンドメディア運営では、その目的に対して、目的の達成度を測る指標としてKPIを設定します。KPIには、それを達成することで目的の達成に近づく数字を設定します。
KPIとして設定されることが多いのが、以下のような指標です。
オウンドメディアの成果や必要性を社内でアピールする場合、そのオウンドメディアの目的とターゲットを説明した上で、それに対するKPIの設定とその達成度合い、そして今後の見込みを説明するのが基本です。
社内でのアピールという点では、オウンドメディアを開始してすぐにはPVやUUなどの数字は伸びにくいため、記事本数などの着実に数字を伸ばせるKPIを設定した上で、それらの記事から得られたデータを基に、PVやUUなどより目的達成に近づく指標を設定していくと、成果や必要性を訴求しやすいかもしれません。
KPI設定については以下の記事も参考になります。
◆自社のWebサイト運用のKPIとは?目的別にKPI事例を解説
オウンドメディア運営にはCMS(Contents Management System)を利用するのが一般的です。CMSによっては、簡単に分析・レポート作成をできる機能がついているものもあります。そういった機能を活用することで、オウンドメディアの成果・必要性のアピールをしやすくなるかもしれません。
同じ数字でも、グラフや表などを使うことで、数字の推移や変化が分かりやすくなります。前提として成果を出すことは必要ですが、それをオウンドメディア運営に直接関わってない人でも分かりやすいように伝えることも重要です。
オウンドメディアの記事作成に限定すれば、次のような業務が発生します。
また、記事公開後、SNSやメルマガでの拡散、分析とそれに基づく改善提案も必要です。記事を書くリソースやノウハウに課題を感じる場合、特にどの部分が不足しているか見直してみましょう。
オウンドメディアの記事作成体制の基本は、編集長・編集者・ライターです。編集長は基本1名ですが、編集者・ライターは必要な記事本数に応じて人数を調整します。
オウンドメディアによる違いはありますが、上記1・2は編集長・編集者で行い、3~6は編集者・ライターで行い、7は編集者もしくはライターが行うという流れが多いのではないでしょうか。
オウンドメディアの運営規模が大きい場合は、編集者やライターが複数名、SNSや分析の担当者が別途います。一方、運営規模が小さい場合は、編集者が少なく、SNSや分析まで兼任したり、編集長=編集者だったりする場合もあります。
前述の必要な人員を踏まえて、自社で無理なく対応できる範囲を考えます。
オウンドメディアの運営開始当初、特に成果が出るまでは、他の業務と兼任でオウンドメディア運営に当たる例も多く見られますが、いずれの業務にも支障が出ない範囲で調整する必要があります。
全体的にリソースやノウハウがない場合、オウンドメディア運営全体を支援してくれる運用代行サービスの利用をおすすめします。また、オウンドメディアを運営しているもののなかなか運営がスムーズにいかなかったり成果につながらなかったりする場合、いったん運用代行サービスを利用することで、改善点が見えてくる可能性があります。
将来的に業務の内製化を増やしたい場合は、人材教育にも対応してくれるサービスを利用すると良いでしょう。
オウンドメディアは記事の本数が必要になるので、とにかく記事執筆のリソースが足りないということも起こりがちです。その場合、外注ライターに記事執筆を依頼します。その際、記事品質を安定させるために、先に解説したマニュアル・ルールの作成が重要です。
また、これまでの実績やポートフォリオを基に自社のオウンドメディアへのライターの向き不向きを見極めつつ、最初は小さめの案件を依頼して、実際のライターのスキルややり取りの円滑さなどを判断すると良いでしょう。
オウンドメディア運営で思うように成果が出ないと感じたら、本記事で紹介した課題から、自社に当てはまる課題がないか見直してみてください。そして、特に成果に影響しそうな、優先度が高い課題から対応していきましょう。
自社の課題がしぼりきれない、改善が自社だけでは難しいという場合は、オウンドメディア運営に詳しい専門家に相談することをおすすめします。まずは課題と対策を明確にした上で、自社でできることと外注したほうが良いことを判断していきましょう。
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