Webサイト運用担当者として、コーポレートサイトに課題を感じており、リニューアルしたいと考えている。そんな場合、まずは社内の承認を取ることがスタートとなるケースも多いかと思います。そこで必要となるのが、説得力のある企画書です。
本記事では、企業のWebサイト運用担当者が、コーポレートサイトリニューアルについて社内関係者の承認を取るために、どのような点を押さえて企画書を作成すれば良いのか解説します。
企画書には表紙をつけ、コーポレートサイトリニューアルについての企画書であることと、作成年月日と作成者を記載します。
企画書を電子ファイルで扱う場合、ファイル名も同様です。これにより、提案する側・受け取る側双方が企画書を管理しやすくなります。
目次を付けることで企画書を読む人が、企画書のどこを読んでいるのか、あとどのくらいの内容があるのか、全体感をつかむことができ、読み進めてもらいやすくなります。
いきなり本格的な説明に入るのではなく、企画書で説明することのうち、以下の項目について要点をひとつにまとめておきます。
企画書はすべて読んでもらえるわけではありません。ここでリニューアルに興味を持ってもらい、企画書を読み進めてもらう必要があります。
詳しい説明は後にまわし、企画書を読む人がまず知りたいと思っているであろう要点を分かりやすくまとめましょう。
何のためにコーポレートサイトをリニューアルするのか、リニューアルによりどのようなメリットがあるのかを説明します。ここで、企画書を読む人に「そういったメリットが得られるならば、リニューアルを検討しても良い」と思ってもらう必要があります。
そのために、まず、現行のコーポレートサイトがどのようなユーザーをターゲットにして、何を目的に運用されているのかを整理します。
一般的に、コーポレートサイトは以下のような目的の下に運用されます。
リニューアルを検討するということは、こういった目的が十分に達成できていない状態だということです。そして、リニューアルすることによりこれらの目的を十分に達成できるようになる必要があります。
つまり、リニューアルの目的・メリットとしては、どのようなユーザーに対して、上記のような効果を発揮できるかを記載します。
競合との比較や、今後の事業運営に関連してリニューアルによって得られるメリットを説明できるとより効果的です。
【参考記事】コーポレートサイトをリニューアルする目的と進め方を紹介
前述のコーポレートサイト運用の目的に対して、現行のコーポレートサイトのどのような点が課題となっており、どのような機会損失が発生しているのか説明します。
そのために、現行のコーポレートサイトの分析を行いましょう。その際、以下のようなツールが役立ちます。
ユーザーアンケートや社内へのヒアリングなどで、サイトの使用感、サイトを使うときに不便だと感じる点などを聞くことができれば、合わせて参考にしましょう。
また、同じようなユーザーをターゲットとする競合サイトと自社の現行サイトを比較することで、自社のサイトの不便な点が見えてくるかもしれません。
課題が多く出てくる場合は、コーポレートサイト運用の目的とターゲットとするユーザーに基づいて、特に課題となっている点を中心にまとめます。
現行サイトの課題に基づき、具体的に何をどのようにリニューアルするのか、それによりどのような効果が見込めるのか、説明します。デザインの変更などテキストだけでは分かりにくい点は、イメージ画像を活用しましょう。
効果については、以下のような指標を使って数字で説明します。
【参考記事】自社のWebサイト運用のKPIとは?目的別にKPI事例を解説
リニューアルに必要な人員と着手から完了までの大まかなスケジュール、リニューアルに必要な予算を提示します。また、リニューアル完了後、運用にかかる月額固定費や人手も想定しておきましょう。
リニューアルにかかる人手と時間、予算に対してどれほどの効果が見込まれるか、リニューアルをしないことでどれほどの機会損失が生まれていくか、数字で表すことで予算に対する理解を得やすくなります。
コーポレートサイトリニューアルでは、制作会社などに業務を外注するケースが多いかと思います。企画書の作成時点で見積もりを取れるようであれば、相見積もりを取り、企画書に記載・添付しましょう。
こういったコーポレートサイトを作りたい、こういった効果をあげるコーポレートサイトを目指しているという参考になる他社事例があれば、企画書に盛り込んでおきます。
制作会社などに外注する場合は、その会社の事例から、自社が目指すコーポレートサイトに近いものを参考事例とすると分かりやすいでしょう。
なぜコーポレートサイトのリニューアルを行うのか、リニューアルすることで何を得られるのか、現行サイトと比較して数字で表現することで企画書の説得力が増します。また、リニューアル後の振り返りと改善も行いやすくなります。
「デザインが古い」「使いにくい」といった数字では表せない点も、社内やユーザーからどれくらいそのような声があるのかといった説明ができます。また、その点を改善することでどういった成果が見込めるのかを示すことで、リニューアルの必要性につながります。
コーポレートサイトリニューアルの企画書は、パワーポイントやGoogleスライドでの作成が主流です。その際、1ページにつきひとつのことを説明するという形で、情報を盛り込みすぎないように気を付けましょう。
特に、課題提示やリニューアル内容の説明はボリュームが大きくなりやすい点です。無理にひとつのページに情報を盛り込むのではなく、適宜ページを分けます。
また、制作会社に外注する場合の見積書など、企画書で説明していることに関して詳しい書類・資料がある場合は、企画書の最後に別途添付します。
専門用語を使ってはいけないわけではありませんが、頼りすぎないように気をつけましょう。多くの人に読まれる企画書であるほど、専門用語の使い方には注意が必要です。
あまり一般的でない専門用語を使う場合、他の言葉で説明できないか一度考えてみます。言葉の定義をかみ砕くことで、分かりやすい企画書になります。
コーポレートサイトリニューアルは、Webマーケティング施策のなかでも、比較的大きい費用がかかります。企画書を読む人に、そもそもそれなりの費用がかかるものという認識を持ってもらうことで、予算を通しやすくなります。
コーポレートサイトリニューアルの相場は、サイトのボリュームや搭載する機能や作成するコンテンツの内容によって大きな違いがあります。
一例として、過去に制作会社にヒアリングした情報を基にすると、WordPressを利用したオリジナルデザインの10ページ程度のサイトの場合、50万円~100万円程度が目安とのことでした。
また、同条件でいくつかの制作会社にざっくりとした見積もり依頼を出すことで、おおよその相場をつかむことができます。
コーポレートサイトは、リニューアルして終わりではありません。リニューアル後に運用を続け、分析と改善を繰り返すことで、リニューアルにかかったコストに見合う成果を出していく必要があります。
そのため、企画書でもリニューアル後の運用まで見据えた説明を行いましょう。それにより、リニューアル後のサイトに加えるコンテンツや機能、外注先の最適な選択が変わるかもしれません。
-コーポレートサイトリニューアルの企画書を作成する際、ディレクター視点で特に注意すべきポイントとは?
片岡 浩二さん(Webディレクター)
「決裁者がイメージできるようにする」のがおすすめです。最も手っ取り早いのは「金額に換算する」こと。
「リニューアルをすれば、売上が〇〇円増えますよ。だから××円投資してください。」という組み立てにすると通りやすい企画書になります。
1.問い合わせの価値を算出
たとえば、年間120件の問い合わせから10件成約。売上は合計120万だったとしたら、問い合わせ1件は1万円の価値。
2.目標を実現すれば増加する売上を計算
もし、問い合わせが2倍になれば、240万の価値を生むようになるわけです。
3.提案書に盛り込む
リニューアル後、2年使う前提で考えれば240万以上の売上が増える。240万を投資しましょう。
といった流れです。問い合わせの数は流入数×問い合わせ確率で計算できるので、問い合わせの数が2倍になる根拠を流入数増加と問い合わせ確率の向上といった2つの視点からまとめれば、企画書は通ったも同然です。
どちらも公開後に微調整が必要なので、投資金額の240万をすべてリニューアル費用につぎこむのではなく、150万が初期費用、90万は運用費用といった計画的な使い方をするようにしましょう。
【ディレクタープロフィール】
Webディレクター
片岡 浩二
愛媛県出身。大学卒業後、Webサイト制作会社に入社。キャンペーンサイト、コーポレートサイト、アプリ開発などの企画やディレクションに従事。
制作だけではなく運用に携わるために中小企業へ転職し、公式サイト運営やチラシ・DMなど印刷物のインハウス化など多岐に渡る業務を担当。
企画立案、制作ディレクション、運用施策とマルチにこなし、人に合わせたコミュニケーションをおこなうことから炎上しない安定感が魅力。
中小企業や店舗に寄り添ったWeb集客を提案し続けている。
インターネット上で会社を紹介する窓口であるコーポレートサイトのリニューアルには、社内の多くの人に関係があり、影響があります。
そのため、なぜリニューアルが必要なのか、どのようなリニューアルを行うのか、リニューアルによりどのようなメリットが見込まれるのか、多くの人に分かりやすい企画書が求められます。
情報に過不足なく分かりやすい企画書を作成することで、リニューアルの承認が得やすくなることはもちろん、実際にリニューアルに着手してから、やるべきことがはっきりとしているので、計画を進めやすくなります。
コーポレートサイトリニューアルの必要性を感じているものの、説得力のある企画書の作成に不安があるという場合、お気軽にご相談ください。ディレクターバンクの「Webマーケティング代行サービス」では、御社の状況に合わせて、経験豊富なWebマーケティングのプロフェッショナル人材をアサインします。
また、ページ作成からリニューアル後の運用管理まで効率的に進められる「Hubspot」の導入支援も行っています。