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企業オウンドメディア運用の改善仮説PDCAの回し方-お悩み相談Q&A

作成者: 烏田千洋|2019/11/19(火)

ディレクターバンクの烏田です。ディレクターバンクへご相談いただく、企業のデジタルマーケティング運用に関する様々な課題に、経験豊富なディレクターからのアドバイスをご紹介する「お悩み相談Q&A」。

今回は、自社のオウンドメディアで「効果的なPDCAの回し方が分からない」という運用に関するお悩みです。


今回のご相談内容

オウンドメディアの運用、何をどう改善したら良いのかわかりません。

自社サービスのPRを目的に、オウンドメディアを運営しています。スタートして3ヵ月ほど経ちましたが、運用していくなかで、何をどう改善したらいのかわからず手詰まり状態です。

先月の運用実績を分析して、改善仮説をたてようとはしているのですが、アクセス数自体がまだ少ないため、実績数値を見ながらどのように改善仮説や打ち手を考えていいのかわかりません。

みなさんどうやってPDCAを回してらっしゃるんでしょうか? 運用を磨き上げるためのノウハウが知りたいです。

 

ディレクターからのアドバイス内容

小さな改善を、地道に続けます。

オウンドメディアの運用は、地道なプロセスです。例えば、すでに公開済みの記事の内容や構成、各ページのCTA(Call To Action - 行動喚起)の位置などを随時変えていって、一ヵ月程度の単位で反応を見比べて検証するという、いわゆる「PDCAを回していく」作業の繰り返しです。広告のように、どかんとあてたら一発ヒット、ホームラン! という感じにはいきません。

オウンドメディアを始めたばかりで、まだアクセス数が少なくても、相対的に良い数字をみつけて、そこを伸ばす施策を施してみるなど、少しずつ積み上げていく作業を繰り返します。

私がオウンドメディア運用のお手伝いをさせていただく場合、基本的には月例の編集会議を行います。編集会議では、以下のような点を検討し、今後の対応項目を決定します。

  • KPIの達成度合いの確認
  • KPIが達成できなかった記事の問題点の分析
  • 前月実施した改善項目の効果分析、問題点の分析
  • 問題点を解消するための改善仮説の検討
  • 次月に実施する打ち手の決定
  • 新規制作記事の内容の検討


有意義な議論ができるよう、会議の際には、事前にアクセスデータの分析をしておくことをおすすめします。

  • コンテンツへの流入元はどこが多いのか
  • 実施した集客施策(広告だけでなくメルマガやSNSなど)から、どれくらいのアクセスが来ているか
  • SEO対策しているなら、想定したキーワードから流入しているか
  • コンテンツの滞在時間がどれくらいなのか

このようなデータを事前に準備しておくと、ある程度、オウンドメディアの状況が見えてきます。

集客施策が失敗しているのか、検索エンジンから集客できていないのか、もしくはコンテンツにアクセスしたけれどほぼ読まれないまま離脱されているのかなど、データから原因を推測して、各担当者に意見を求めてみると具体的な議論になりますよ。

オウンドメディアがうまくいっているときは、みんな盛り上がって会議が楽しいものです。

しかし、KPIが達成できていないなど、うまくいってないときには重苦しい雰囲気となって会議自体も停滞します。

こんなとき一番NGなのが、この記事コンテンツがダメ、あの集客施策がダメと各運用担当を責めることです。そうではなく、何故ダメだったかを、各担当者の立場から発言してもらうことが重要です。マーケティング担当、営業担当など、会議の他の参加者からも、それぞれの立場から意見をもらいます。

なかなか意見が出にくい場合には、各参加者に、カスタマージャーニーのペルソナの視点で、ペルソナの気持ちになって記事を読み直し、意見を出してもらうのもひとつの手です。例えば、30代の主婦とか、大学生とか。自分とは異なるパーソナリティでも、ターゲットユーザーの視点で評価することが大切です。

なお、このように、オウンドメディアのアクセス状況の理解に基づき、改善のための有意義な議論をするためには、オウンドメディアのWebサイト自体のアクセスログだけでなく、どこから誘導できたのか、メルマガやSNSから誘導する場合は、メルマガやSNSからの誘導数がわかるようにリンクURLにパラメーターをつけておくなど、必要なデータがとれるようにしておく環境整備が重要です。

⇒ カスタマージャーニー については、こちらの記事でご紹介しています。
ターゲットに刺さるオウンドメディアコンテンツの作り方-お悩み相談Q&A

 

具体的な改善仮説の立て方

自社サービスのホームページへの誘導数をKPIにしているのであれば、オウンドメディアの記事ページ内からホームページへの誘導(CTA)の配置は、その成果を大きく左右する重要な要素です。

例えば、訪問数はそれなりにあるが、精読率が低く、KPIが達成できていない記事があるとします。この場合、次のような改善仮説が考えられます。

訪問数があるのに、KPIが達成できない

→CTAの位置に問題があるのではないか→記事の途中にもCTAを置いてみよう
訪問数があるのにKPIが達成できていない場合、CTAの位置に問題があるのではないかと考えることができます。記事の最後にしかCTAがないのであれば、記事の途中にもCTAを置いてみて様子を見てみます。

記事の精読率が低い

→記事の構成に問題があるのではないか→結論から述べる話の流れに変えてみよう
まわりくどく説明しすぎで、途中で飽きられてしまっているのかもしれません。商品に関する情報も含めて、結論を記事冒頭で先出してから、ブレークダウンしていく構成に変更し、精読率の変化を見ます。またコンテンツタイトルをユーザー視点の表現に変えたりするだけでも、状況が大きく変わる場合もあります。自社でコンテンツを制作していると、どうしても商品・サービス目線で表現してしまいがちになりますが、利用者・購入者だったらどのような表現に興味を持つか考えて、表現を買えた前後での反応の変化を分析してみてください。

このように、KPIや記事への訪問数、精読率などから、記事の問題点を分析し、改善するべき箇所を検討し打ち手を探します。打ち手といっても、抜本的な変更というよりも、記事ページ内のCTAの配置の変更といった地道な改善の積み重ねがほとんどです。

 

実際にユーザーに聞いてみる

なかなか有効な改善仮説が見つからないというときには、実際にターゲットにちかいブロガーなどのユーザーに話を聞いてみるのも有効です。

今はSNSがあるので、ターゲットペルソナに近い属性のユーザーを見付けるのは、以前に比べて格段に簡単になりました。でも、SNSは、基本的にパーソナルに楽しんでいる場ですので、土足で踏み込むような真似はNGです。アプローチする際は、そのユーザーが、連絡先を公開しているかなど、外部からの連絡に対してウエルカムな姿勢であるかを慎重に見極めましょう。

経験上、その分野に特化したブログを書いているブロガーは、その道のプロ(商品・サービス提供者)と接点を持てることに非常に高い関心を持っている場合があります。ブログに連絡先を記載していたり、問い合わせフォームがある場合には、連絡してみると意外と会ってくれたり、意見をくれたりするものです。ただ、連絡する時は、あくまでお願い・相談をするというスタンスで、丁寧な文面を心がけてください。


オウンドメディアは、小さな改善を繰り返して精度を上げていくコンテンツマーケティング施策です。ぜひ、年単位の長期的な視野で取り組んでいただければと思います。

 

教えてもらった担当ディレクター

辻岡 克敏 さん

Webプロデューサー

2001年よりWebプロデュース業を行う。Web制作会社の受注側、事業会社での発注側と双方の立場でWebプロデュースを経験後、2011年に独立。リニューアルや新規メディア立ち上げなど、企画中心のプロデュース案件を多数担当。

 

ディレクターバンクでは、企業のデジタルマーケティング担当者様と一緒になって、効果的なオウンドメディア運用支援を行うサービスを行っております。自社のオウンドメディア運用でお困りの点がございましたら、お気軽にご相談ください。