インスタグラムの企業アカウントを運用して成果をあげるためには、運用前の準備から運用における最適化、集客の強化など、いくつかのポイントがあります。
本記事では、Instagram企業アカウントにおいておさえるべきポイントを、17のポイントに分けて解説します。自社のInstagram運用で成果がなかなか出ていないと感じている担当者は、運用改善のヒントにぜひお役立てください。
Instagram企業アカウントを運用するにあたっては、最初に運用目的とコンセプトを明確にします。そのために、「運用目的、成果指標(KPI)」「ターゲット」「世界観」を明確にしましょう。これにより、運用の大きな方針が決まります。
Instagram企業アカウント運用の目的は大きく「認知度向上」「興味度向上」「購買誘導」の3つに分けられます。まず、何を目的としてアカウント運用を行うのかを決め、運用目的に応じたKPIを設定しましょう。
KPI設定:リーチ数・フォロワー数
その企業の存在やブランド、商品をまだ知らない潜在層のユーザーに認知してもらうことを目的とします。自社のことをこれから認知するユーザーにどういったイメージを与えるかという、ブランディングの側面もあります。
KPI設定:エンゲージメント率・フォロワー数
その企業の存在やブランド、商品を認知しているものの、Webサイトを訪問するなどの直接の接点がまだない準顕在層のユーザーとの接点を増やし、自社に対する興味関心を向上させることを目的とします。
購買誘導
KPI設定:サイト流入数・ハッシュタグ投稿数・エンゲージメント率
購買誘導では、その企業のブランドや商品に興味を持っている顕在層のユーザーに、商品を購入してもらうことを目的とします。すでに自社の商品を購入したことのある既存顧客を対象に、関係育成や、リピート獲得を目的とすることもあります。
アカウントの運用目的が決まると、「潜在層」「準顕在層」「顕在層」のいずれのユーザーをターゲットにするか決まります。そこからさらに、性別や年代などの属性、どういった興味関心を抱くユーザーにリーチしてフォローやエンゲージメントを獲得したいのか、ターゲットを明確にします。
ターゲットを決める際に役立つのが、既存顧客のデータです。すでにInstagramアカウントを運用している場合は、そのインサイトも役に立ちます。また、競合企業のInstagramアカウントがあれば、その投稿内容を確認して、どういったユーザーをターゲットにしているのか推察しましょう。
企業やブランドのイメージに沿って、Instagramアカウントのプロフィールや投稿内容の世界観を統一しましょう。
世界観というと抽象的かもしれませんが、写真の撮り方、加工編集の程度、テキストやハッシュタグの言語や言葉の選び方などに世界観が表れます。それらが投稿ごとにブレがないよう、全体で統一されていることが重要です。また、後述する「企業アカウントの運用ルール」の「投稿コンテンツのコンセプト」「トーン&マナー」も影響する要素です。
アカウント運用の目的とコンセプトが決まったら、運用ルールを策定します。これにより、日々の運用業務が具体化します。
アカウント運用の目的・ターゲット・世界観に基づき、投稿を見たユーザーにどのように感じ、考え、行動してほしいのか、投稿のコンセプトを定めましょう。投稿のコンセプトを定める際に押さえておきたいのが以下のポイントです。
Instagram企業アカウントの最適な投稿頻度は、ターゲットやアカウントの投稿コンセプト、フォロワーとの関係性により異なります。一般的に、一日1回、週2~3回、週1回などで最適な頻度を調整することが多いようです。
Instagram企業アカウントをフォローしてもらうために、一目見てどのようなアカウントであるか分かりやすいことが重要です。そのために、投稿のトーン&マナーを揃えましょう。いわゆる「中の人」のキャラ設定ともいえます。
アカウントの世界観を踏まえて、どういった写真を選択してどの程度の編集加工を行うのか、テキストをどのようなノリで投稿するのかなどを決めておきます。
投稿コンテンツのコンセプトと投稿頻度を決めることで、Instagram企業アカウント運用に必要な業務量と業務時間がある程度想定できます。そこから、対応可能な担当者を決めます。アカウントのトーン&マナーに無理なく対応できる担当者であることも大切です。
6.炎上などのトラブルの対処方法を決めておく。
Instagramに限りませんが、企業のSNS運用においては、炎上などのトラブルが起きるリスクがあります。Instagramで起こり得るトラブルとしては、以下が考えられます。
トラブルが起きた際に、迅速に対応できるよう、想定できるトラブルについては対処法の初手を決めておきます。そして、影響を最小限にとどめられるよう、どのタイミングで誰に報告を行い、社内の誰に情報を共有して誰が対処するのか、関係者間で決めておきます。
ここまでで、Instagram企業アカウント運用のための体制が整いました。ここからは、アカウントを運用して成果を出すために必要な点を解説していきます。
Instagramでの情報検索は「#(ハッシュタグ)」が基本です。フォロワー以外に投稿を見てもらうためには、ターゲットとするユーザーがよく利用しているハッシュタグを投稿につけます。ハッシュタグは最大30個までつけることができます。
投稿数が数十万以上のビッグワードよりも、投稿数が数万件程度のミドルワード、投稿数が数千件程度のスモールワードを狙ったほうが効果的です。
また、Instagramでは投稿に「位置情報」を設定できます。これは「ジオタグ」とも呼ばれます。店舗や施設などがInsatgaramアカウントを運用する場合、位置情報を設定することで、その地域にいるユーザーに投稿が表示される可能性が上がります。
リールは、最大60秒のショート動画です。エフェクトや音楽をつけることができます。リールの投稿はフォロワーのタイムラインに表示されるだけでなく、リールアイコンでフォロワー以外にも表示されます。
リールアイコンでおすすめされる投稿はエンタメ性が重視される傾向にあります。実際にいくつかの企業アカウントのリール投稿を見てみると分かりやすいのですが、フィード投稿やストーリーズ投稿とは異なる表現ができます。
ストーリーズは24時間限定の投稿です。基本的にフォロワー向けの投稿で、フォロワーのフィード上部にストーリーズを投稿したアカウントのアイコンが表示されます。
フィード投稿は一日に複数回行うとフォロワーに煩わしく思われるおそれがありますが、ストーリーズはフォロワーのタイムラインを邪魔することなく複数回の投稿が可能です。24時間限定なので、フォロワーがこまめにアカウントを確認してくれるという接触頻度の向上も期待できます。また、期間限定の情報をお知らせに役立ちます。
なお、ストーリーズはハイライトとしてアーカイブを残すこともできます。
Instagramのアルゴリズムとは、Instagramの投稿を表示させる仕組みです。Instagramで表示されるコンテンツを決める要素は「シグナル」と呼ばれます。Instagramでは、数千のシグナルを基にした総合的な分析により、表示するコンテンツが決定されています。
フィード投稿とストーリーズ投稿の表示で重要なのが、投稿やアカウントに関する情報と投稿に対するユーザーの反応、ユーザーの興味関心や行動などです。これらを掛け合わせ、ユーザーに対してどのようなコンテンツが表示されるか決まります。
フィード投稿もストーリーズ投稿も、基本的にフォロワーに対して表示されますが、投稿が時系列で表示されるわけではなく、ユーザーの興味関心や行動に応じて、Instagram側で表示する投稿が調整されます。
また、「発見タブ」という、ユーザーがフォローしていないアカウントの投稿が、ユーザーの興味関心に応じて表示されるタブがあります。ここに投稿が表示されることで、大きな集客効果があります。
上記を踏まえて重要なのが、ビジネスのカテゴリやプロフィールを明確に記載すること、投稿のハッシュタグを工夫することです。自社のアカウントがどのような情報を発信してるかを明確にすることで、興味関心の近いユーザーに表示される可能性が高まります。また、ユーザーと積極的にコミュニケーションを取ることも効果的です。
Instagramは、ユーザーと双方向のコミュニケーションをとりやすいSNSです。まずはフォロワーを増やすことが重要ですが、フォローしてもらって終わりではなく、ユーザーとの関係性を築いていきましょう。
たとえば、DMやコメントに返信したり、自社の商品やブランドについての投稿に「いいね!」をつけたりすることで、ユーザーに親近感を持ってもらいやすくなります。また、指定したハッシュタグでの投稿募集や、ストーリーズでユーザーアンケートを取るなど、ユーザーを巻き込んだ企画もおすすめです。
Instagram企業アカウント運用にあたって、競合他社のアカウントがあれば必ずチェックしましょう。プロフィールや投稿内容、使用しているハッシュタグなどを研究して、自社でも実施できる点は取り入れるべきです。また、競合他社の取り組みを研究することで、自社が差別化できる点も見えてくるはずです。
【参考記事】Instagram企業アカウント成功例20選!成功ポイント分析
ここからは、Instagram企業アカウント運用における+αの取り組みを紹介します。コストはかかりますが、集客を強化できる方法を以下に紹介します。
Instagram企業アカウントで集客のためによく行なわれるのが、フォロー&指定のハッシュタグで投稿を行なったユーザーを対象にプレゼントを行うキャンペーンです。フォローが増えやすいことに加え、指定ハッシュタグの投稿により、自社に関する投稿が増えることもメリットです。Instagramキャンペーンを管理するための外部ツールもあります。
インフルエンサーに自社のブランドや商品を紹介してもらうことで、一気に露出が高まります。PR案件であることを投稿に明記する必要はありますが、自社のブランドや商品と相性の良いインフルエンサーを起用できれば、そのインフルエンサーのフォロワーの集客につながります。
依頼したいインフルエンサーがいて、直接仕事の依頼を受け付けている場合は、まずは連絡をとってみましょう。「#PR」などのハッシュタグで、インフルエンサーを探すことができます。インフルエンサーの指定がない場合、キャスティング会社に依頼することで、自社に合ったインフルエンサーを選定してもらえます。
Instagramではフィードやストーリーズの投稿を広告として活用できます。広告はフォロワー以外のフィードやストーリーズ、発見タブに表示されるため、集客に役立ちます。Instagramの広告は、アイコンの横に「広告」ラベルが表示されますが、通常の投稿とほぼ同じような見え方をするため、ユーザーに通常の投稿として興味を持ってもらいやすいという特徴があります。
なお、Instagramの広告では以下のターゲティングが可能です。
Instagram運用が軌道に乗り業務が増えてくると、効率化を考える段階になります。運用効率化ツールを活用して、業務負荷を減らしましょう。
Instagram運用の負荷の高い業務を効率化できるおすすめツールを以下に紹介します。
指定ハッシュタグなどを元に、自動的に投稿を「いいね!」およびフォロワーであればフォロー、指定期間内で相互フォローになっていない場合はフォローを解除します。
-投稿分析、オーディエンス(フォロワー)分析、ハッシュタグ分析、予約投稿(アプリ)、投稿管理などができます。
-Iconsquareと同様の機能に加え、TwitterやFacebookの投稿なども一元管理できます。
-ハッシュタグ効果測定ツール。SNSキャンペーンの効果測定やアカウントの調査が手軽に始められます。
-広告主とインフルエンサーをつなぐツール。登録インフルエンサーの検索や、キャンペーンの募集がツール上で完結できます。その他アカウントの分析やフォロワー分析機能も。
【参考記事】企業のインスタグラム運用を、効率化しながら成果を出す方法
Instagram企業アカウントで継続して成果を出していくためには、定期的な見直しが必要です。見直しの時間を定例で設け、KPIの達成度合を確認しましょう。
KPIが達成できていない場合、投稿内容の見直しを行い、場合によってはターゲットや運用目的の見直しも必要です。KPIが達成できている場合は、新たなKPIを設け、反応の良い投稿を参考にしてさらに投稿をブラッシュアップしていきます。
Instagramのビジネスアカウントでは、アカウント運用に関するさまざまなデータをインサイトで確認できます。アカウント全体に関するデータとして、以下を確認できます。
アカウント全体の見直しでは、最初に決めたアカウントの世界観、ターゲットや投稿コンセプトに基づいた投稿ができているかを確認します。そして、反応の良い投稿やユーザー層、反応の悪い投稿やユーザー層をチェックして、ターゲットや投稿コンセプトが適切か確認します。
アカウント全体の数字の他に、各投稿について以下のデータを確認できます。
反応の良い投稿と反応の悪い投稿を比較して、効果的な画像やテキスト、ハッシュタグを探りましょう。
Instagram企業アカウント運用で成果をあげるために大切なのが、本記事で紹介したようなこまかなポイントを丁寧におさえて、コツコツ投稿を積み上げながら、ユーザーとの関係性を築いていくことです。
キャンペーンやインフルエンサーの活用、広告などで一時的に集客を強化することはできますが、その後もフォロワーがついてきてくれるかどうかは、日々の地道な運用にかかっています。本記事で紹介したポイントを一つひとつ確認しながら、運用のための社内の体制や業務フローなどを整えていきましょう。
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