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企業Instagram「うまくいってない」ときに読んでほしい戦略論

作成者: 烏田千洋|2019/8/19(月)

 

ディレクターバンクの烏田です。情報検索の有効な手段として、SNSは欠かせない存在となっています。なかでもInstagram(インスタグラム)は、写真イメージで豊富な情報量がリアルタイムに手に入る、例えるなら月刊雑誌が“秒刊”雑誌になったような、求める情報を圧倒的なスピード感とクオリティで提供してくれるメディアだと感じます。

そんなご時世に、インスタグラムアカウントのひとつも持っていないのは企業としていかがなものか、とにかくアカウントを開設すべし!そんな鶴の一声でインスタを開設してみたのはいいものの、いまひとつ盛り上がらない、というか、うまくいっている感じがしない……そんな企業のデジタルマーケティングご担当者様からのご相談をいただくことが増えてきました。

そこで今回は、ピンチのインスタグラムキャンペーンを大挽回して成功に導くなど、数々のインスタグラム運用代行の実績をお持ちのPRディレクター・澤田知枝さんに、企業のインスタグラムアカウント運用で陥りがちな「なんだかうまくいってない」感の解決ヒントを、教えていただきました。

 

インスタグラム・マーケティングの「うまくいってない」感、その正体とは?

企業のインスタグラム運用代行のご相談は大きく2パターンあります。

  1. やりたいけどノウハウない
  2. すでにやってるけど、うまくいかない

後者の「すでにやってるけど、うまくいかない」というケースは、そもそも、何が「うまくいってること」なのか曖昧なケースがほとんどな気がします。例えば、一般消費者向けの商材を扱う企業で、従来のプロモーション手法では世の中の流れ的に違うと感じて、社内から「SNSやったほうがいいよね」「インスタのアカウントないのってまずくない?」という意見に後押しされて開設してみたというケース。こういう場合ほど、つまずきやすい。

「うまくいっていない」というのは、具体的には、フォロワーが増えないということでしょうか。それとも、投稿への「いいね」やコメントがつかないということでしょうか。あるいは、狙ったハッシュタグの投稿がされないということでしょうか。

うまくいってないと感じる問題の原因を切り分けられず、モヤっとした閉塞感だけがある。それはつまり、インスタグラムの運営目的が曖昧なのです。

「うまくいっていない」を解決するには、まず何をもって「成功」とするのかを考えておくことです。そして、それを社内で共有しておくこと、これが非常に重要です。

 

何をもって「成功」とするのか、目標を設計しよう

インスタグラムは、比較的、目新しいプロモーション媒体として注目されていますが、万能ではありません。試しにやってみようというケースほど、期待過剰になっていることがあります。

インスタグラムのアカウントを開設したからといって、即座に売り上げに直結する、問い合わせが爆増するということは期待できません。また、コミュニケーションツールですから、フォロワーを集めたり、アカウントの性格を作り上げていくなど、場があたたまるのにも時間がかかります。

インスタグラムのアカウント運用では、あくまでインスタグラムは告知ツールなんだという認識の下に、長い目で育てていく前提で臨むことが必要です。

その上で、自社のインスタグラムアカウントで何を達成するか、これは最低限おさえておきたいところです。理想的には、自社のKGI(Key Goal Indicator/経営目標達成指標)から逆算して考えること。例えば、売り上げ目標に対して必要な送客数、その送客数を実現するためのフォロワー数…などと上流から紐解いていきます。

すると、インスタグラムでは、まずフォロワー数をKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)として目標設定しよう、といった具合に必然的に成功の判断基準(目標値)が決まっていきます。

インスタグラムで、一般的にKPIとして採用される数値は次の通りです。

  • フォロワー数
  • インプレッション(例えば、ポスティングしてまいたチラシの数と同質の数字)
  • エンゲージメント(「いいね」数、「コメント」数、「いいね」+「コメント」数)
  • 保存数(投稿がブックマークされた数)

 

目標を、社内共有しよう

インスタグラムで達成しようとする目標は、インスタグラムの特性とあわせて、社内関係者と共有し、認識合わせをしておくことが肝心です。

インスタグラムのアカウント運用が初めての取り組みで、かつ認識共有すべき社内関係者がインスタグラムユーザーでない場合、例えば「フォロワー数○人目標!」と上げたところで、その目標の意味や数値の妥当性を共有することは難しい場合があります。そのような場合は、モデルケースとなるインスタグラムアカウントを例にして説明すると、すんなり分かっていただけることが多いです。

モデルケースを見つけることは、実際の運用においても非常に重要になります。ターゲットユーザーの好みを知る上でも、参考となるインスタグラムアカウントは広くチェックをしておくことをおすすめします。

 

インスタグラム・マーケティングでできること

単純に、商品の認知を増やしたい、情報接触する人を増やしたいという目的だと、実はインスタグラムは向いていません。

インスタグラムの得意分野は、ブランディングです。写真が主役の世界ですから、イメージの訴求が得意です。ユーザーは、単なる商品情報を知りたいだけではありません。「モノ」にフォーカスするよりも、その「ヒト」の編集力に魅力を感じているのです。

例えば、以前、私が運用代行したホテルのインスタグラムアカウントでは、各支店でアカウントを持っていたのですが、アカウントごとの成果に雲泥の差がありました。ひとつのアカウントは、ありものの宣材で、食事の写真だけを投稿していた支店。一方、別の支店のアカウントでは、人物をたててホテルの利用シーンを訴求していました。

成功していたアカウントはどちらだったでしょうか? それは、もちろん後者のアカウント。人がまったく写ってないアカウントでは、ユーザーが自分に置き換えてそのホテルを利用するシーンを想像することが難しく共感を得づらいのです。

親和性を感じてもらう“接点”を創る。つまり上流のきっかけを造るプロモーションという位置づけでインスタグラムを活用すれば、インスタグラムの強みを最大限に活かしたアカウント運用ができ、「うまくいっている」実感も得られるのではないでしょうか。

 

教えてくださった方

PRディレクター・澤田知枝さん

企業やアーティスト、イベントなどのSNS(Twitter、Instagram、LINE等)、企業のオウンドメディアの立ち上げや運用の経験を生かし、2018年よりフリーランスのディレクターに。WEBプロモーション全般のディレクションやコンサルティング業務を行う。今の楽しみは、いろいろな場所のコワーキングスペースで仕事をすること。

 

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