ディレクターバンクの烏田です。ディレクターバンクでは、企業のInstagram(インスタグラム)アカウント運用のお悩み相談をお受けすることが増えてきました。
特に、渾身の投稿をしても、「いいね」や「コメント」がもらえない。投稿への反応が薄くて、うまくいっているのかよくわからない、という課題を抱えているインスタ運用担当の方が多いようです。
そこで、数々のインスタ運用代行実績をお持ちのPRディレクター・澤田知枝さんに、「いいね」や「コメント」といった“エンゲージメント”を増やすためのインスタ運用のコツを教えていただきました。さっそく試したくなるテクニックがもりだくさんです。ぜひご参考ください。
インスタグラムにおけるエンゲージメントとは、「いいね」や「コメント」といったフォロワーの反応のことです。エンゲージメントは、企業のインスタグラム運用において、フォロワーの熱量を図るための重要な指標となります。
エンゲージメントが多いということは、アカウントのファンとの関係性が強く、信頼度も高いと考えることができます。さらに、エンゲージメント率が高いアカウントは、ブランド好意度や純粋想起率も高い傾向にあると期待できます。
エンゲージメント率は、考え方によってさまざまな計算方法がありますが、フォロワー数やリーチ数を分母に計算するのが一般的です。
エンゲージメント率=(いいね数+コメント数)÷フォロワー数またはリーチ数
いくら投稿しても、期待しているようなエンゲージメントが得られない。それにはいくつか原因が考えられますが、まず考えたいのは、その投稿が、自社のターゲットを「楽しませる」内容になっているかということです。
自社製品の認知を広げたい一心で、製品の宣伝の押し付けばかりになっていては、誰も楽しいとは思ってくれません。ターゲットに対して「有益な情報」を届けることを一番に考えて、投稿コンテンツを制作することが最も重要です。
企業アカウントですから、訴求したい製品があるのは当たり前です。訴求すること自体がNGということなのではなくて、訴求の仕方の問題です。その製品やサービス自体を軸にするのではなく、ターゲットペルソナを軸に考えて、使用イメージがわくような利用シーンの提案や、使用してみたいと思ってもらえるような世界観を作り出すということが重要なのです。
「世界観を創り出す」といっても、どんな世界観がターゲットに響くのか? ターゲットに好まれる世界観を創り出すことは、簡単なことではありません。
そこで参考になるのが、自社で打ち出したいイメージに近い世界観をもっているインフルエンサーです。世界観自体のイメージがわかない場合は、人気のインスタグラマーたちを研究して、自社の世界観を模索するのもいいでしょう。
そして、目標とする写真のテイストや世界観が定まってきたら、参考にしたインフルエンサーの投稿に「いいね」や「コメント」をしているユーザーたちの行動をよく観察してみてください。どんな雰囲気の写真に「いいね」をしているのか。どんな投稿の内容に対して、どのようなコメントを残しているのか。
そのユーザーたちが、自社のアカウントで狙っていきたいターゲットです。ユーザー分析から、自社のターゲットペルソナの理解を深めて、アカウント運営の見直しや最適化を行っていきましょう。
エンゲージメントを得る上では、テクニカルな工夫も必要です。いくら良いコンテンツができても、ターゲットに気づいてもらえなければ、そもそもエンゲージメントは得られません。
インスタグラムで大切なのは、「ハッシュタグ」の活用です。インスタグラムでは、ハッシュタグをキーに情報検索することがメジャーだからです。フォロワー以外のユーザーからエンゲージメントを得るためにも、ハッシュタグは欠かせません。
ハッシュタグは、一投稿につき30個までつけることができます。「いいね」が、つきやすいのは、いわゆる小カテゴリで身近なキーワードです。例えば、カフェのようなローカルビジネスのアカウントでは、次のようにエリアのハッシュタグをつけます。
#東京カフェ
#原宿カフェ
この場合、#東京カフェ のように、広い範囲(大カテゴリ)のキーワードよりも、より行動範囲に寄ったエリア(小カテゴリ)となる #原宿カフェ のほうが、引きが強い。なぜなら、それは、実際にそのエリアでカフェを探しているユーザーや、地元の人たちにとって、直接的に役に立つ情報だからです。
また、人気のハッシュタグをつけて、見てくれる人を増やすという手もありますが、これはSEOと同様にすでに寡占状態の場合もありますので、同じことを考えているほかのユーザーの投稿に埋もれてしまうという結果に終わりがちですので、よく工夫する必要があります。
さらに、独自のハッシュタグを広めていくハッシュタグターゲティングという手法もあります。インスタグラムキャンペーンでよくある、「このハッシュタグをつけて投稿した方に、〇〇をプレゼント」のような使い方です。これは、フォロワー獲得のためにも有効な手法です。
インスタグラムでは、位置情報での検索もよく利用されています。「検索」メニューの「スポット」がそれです。例えば、渋谷にいるときに「渋谷でなんか楽しそうなのないかな」と渋谷でスポット検索をして、表示された写真の中から気になるものをのぞきに行くといった具合です。
リアル店舗があるのであれば、アカウントのプロフィールや投稿に位置情報は必ずいれておくようにしましょう。
自社のアカウントの特性に即して、投稿する時間帯も工夫をするようにしましょう。例えば、同じくカフェの場合で考えてみると、夜の時間帯に、爽やかな朝のカフェの様子を投稿しても、見る側からしてみれば、ちょっとピンときません。一日の始まりのカフェオレというよりも、一日の終わりにバーでカクテルというほうが、その時の気分にしっくりくるはずです。
このほか、エンタメ系では、夜の時間帯(20~22時頃)がエンゲージメント率が高いと感じます。
また、私が運用代行しているビジネスアカウントでは、木曜日の朝がエンゲージメントが高い傾向にあって、現在いろいろな投稿で試しているところです。ビジネスによっては曜日によってもエンゲージメント率の傾向がある場合もあります。
このように、様々な仮説に基づいたPDCAを回すことでターゲットのライフスタイルや好みに対して最適化していくことが、エンゲージメントを高めるポイントです。ただし、あまり仮説に固執してしまってはうまくいきませんので、そこは柔軟な発想で。
コメント対応については、各社の運用方針によって対応は様々ですが、コミュニケーションを図るという意味では、投稿にコメントがついたらはこまめに返す、少なくとも「いいね」をした方が、コメントをくれた人にも好印象ですし、後から見た人もコメントがしやすくなります。
「いいね」や「コメント」が何もない投稿に、「いいね」や「コメント」をすることは、実は勇気がいることです。エンゲージメントは、上手く転がりだすと雪だるま式に増えるもの。
ターゲットに近いユーザーの投稿に「いいね」をしにいく「出張いいね」や、コメント返しを積極的に行うことで、コミュニケーション障壁を低くし、機会を生み出していくことも大切です。
なお、インスタグラムでは、いいね数を投稿者以外には非表示にするテストを行っており、今後、いいね数が表示されない仕様になる可能性もあります。
インスタグラムは、ハッシュタグや検索機能など、利用者と情報をマッチングさせる機能がとてもよくできていて、企業のアカウント運用担当者としても工夫のしがいがたくさんあります。ぜひ、うまく活用してインスタグラム・マーケティングを成功させていただければと思います。
PRディレクター・澤田知枝さん
企業やアーティスト、イベントなどのSNS(Twitter、Instagram、LINE等)、企業のオウンドメディアの立ち上げや運用の経験を生かし、2018年よりフリーランスのディレクターに。WEBプロモーション全般のディレクションやコンサルティング業務を行う。今の楽しみは、いろいろな場所のコワーキングスペースで仕事をすること。
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