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オウンドメディアの成果が出ず困ったときの戦略論-お悩み相談Q&A

作成者: 烏田千洋|2019/10/16(水)

ディレクターバンクの烏田です。ディレクターバンクでは、企業のデジタルマーケティング運用に関する様々な課題相談をいただきます。そこで、このブログでは、よくいただくお問い合わせと、ディレクターによるアドバイスをご紹介したいと思います。

今回は、自社のオウンドメディア(Webサイト)が、いまひとつ成果につながらない…そんなオウンドメディア運用に関するお悩みです。

今回のご相談内容

自社オウンドメディアの成果が出ず困っています。どういった見直しをしていけばいいでしょうか?

自社でオウンドメディアのWebサイトを運用していますが、いまいち成果が出ておらず、見直しをしなければいけないと思っているのですが、何をどうすればいいか分かりません。

自社の情報をもっとWebで発信していこう、という社長の方針で始まったプロジェクトで、具体的な取り組みとしては、自社の商品情報や活動を社員がブログ形式でアップしているのですが、思ったほどアクセス数も増えず、訪問者も獲得できていません。

どのような改善施策を行えばアクセス数が増やすことができて、成果を出すことができるのか、アドバイスが欲しいです。

 

ディレクターからのアドバイス内容

何のためのオウンドメディアなのかをまず考えましょう。

まず、何のためのオウンドメディアなのか、何をもって「成果」とするかが、曖昧になってはいないでしょうか?

自社のオウンドメディアで達成したい「成果」とは何でしょうか。成果が出ておらず、改善のための仮説も見えてこない場合、今一度ここに立ち戻って整理してみることをおすすめします。

オウンドメディアは、コンテンツマーケティングの手法のひとつです。コンテンツマーケティングとは、ターゲットユーザーに対して有益なコンテンツを提供することによって、意識変容を促進し、最終的に購買へ導くことを目的としたコミュニケーション戦略です。

特にオウンドメディアは、広告のような一過性の成果ではなく、作成したコンテンツが自社の資産となって継続的に成果を上げることが期待できる点、また自社で情報をコントロールできるという点でも魅力的な戦術です。ただし、継続的な効果を得るためには、長期的に運用することを前提に取り組む必要があります。

マーケティング戦略上のオウンドメディアの役割としては、大きく次のふたつが考えられます。

  1. 自社商品・サービスへの興味喚起・購入意向度を上げる

    商品ページへの誘導。契約、購入に結び付ける。商品に対する興味度を上げるのがゴール。一般的には、ECやオフィシャルサイトへの誘導数をKPIとする場合が多い。

  2. ブランディング

    特定の商品には紐づかない。ブランドファンを獲得するためのコンテンツ展開。オウンドメディア上の記事で完結する。成果は、ブログ接触者へのアンケート調査で意識変容度を測るなど。成果の評価が難しく、ブログ記事の精読率や滞在時間などをKPIとする場合が多い。


もし、運用中のオウンドメディアで「商品を売る」ということをゴールにしているのであれば、初期設計を見直す必要があるかもしれません。オウンドメディアで行うことは、振り向いてもらいたい相手に、自社の事を好きになってもらうためのコミュニケーションであり、ある意味とても時間のかかるプロセスなのです。

 

課題箇所を見極めましょう。

次に、どの部分の「成果」が出ていないか、明確にしてみましょう。

具体的にオウンドメディアの「成果」が出ていないと評価される場合、まずKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)と、KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)どちらの成果が出ていないかの問題の切り分けが必要です。

例えば、オウンドメディアから商品ページへの誘導(KPI)は達成できているのに、売り上げ(KGI)につながっていないのであれば、最終的な購入を行う段階(ECや申し込みフォームなど)に課題があると考えることができます。

もし、KPIが達成できていないということであれば、オウンドメディアにとっては重たい問題です。KPIを達成するための、さらに細かい要素をブレークダウンしてみていくことで課題箇所を見つけます。

 

記事へのアクセス数が足りない場合

目標の誘導数を達成するための記事へのアクセス数が足りないのであれば、記事の内容の切り口に魅力がないのか、SEO・集客に問題があるのかということを考えます。

記事内容に問題がありそうだと見つけた場合、コンテンツの切り口を見直します。「ココがスゴイでしょ」と商品を推すのが広告ですが、コンテンツマーケティングは因数分解です。ターゲットユーザーの興味関心を分類して、その課題に答えながら商品を関連付けさせていきます。広告のやり方とは真逆で、押すのではなく、引く。

例えば、「シワになりにくい麻のシャツ」という商品について、コンテンツマーケティングで認知を広げたいとしましょう。

麻のダメなところから、因数分解してみてください。麻は、「シワになりやすい」のがデメリットといえますね。そこで、その麻のデメリット(課題)を解決するための「麻のアイロンのかけ方」について、記事をつくって、麻に興味のある人に向けたコンテンツを展開する。麻のアイロンのかけ方を読んでいくと、そもそもシワにならないシャツ(当該商品)について知ることになる…そんな“引き”の戦法です。

 

記事の構造自体に問題がある場合

また、記事へのアクセスはそれなりにあって、コンテンツの切り口もよさそうだが、どうも記事の構造自体に問題がありそうだという場合もあります。商品訴求の記事に、商品へのリンクが記事の一番下にしかない。これでは、せっかく記事にアクセスしてくれても、ユーザーが記事を途中までしか読まなかった場合、肝心の誘導リンクにたどり着いてもらえません。商品へのリンクを、記事の途中にも設置してみて、誘導数の変化を観察してみましょう。

“コンテンツ”だからといって、編集のプロである必要はありません。必要なのは、自社のターゲットユーザーに対する想像力です。どんな人に、どんな文脈で、自社の商品を知ってもらいたいのか。自社の商品を最もよく理解しているのは、自分たちのはずです。

このように、KPIの成果が上がらないという場合、記事の内容自体が求める成果に向けた内容になっているか、記事の構成に問題はないかなど、KPI達成のために必要な要素の改善点をひとつひとつ見つけて対応していきます。

 

目的を明確化し、PDCAを回すのが改善への道

以上のように、オウンドメディアの成果がでないというときに、商品が売れなかったということで悩むのではなく、オウンドメディアの目的の定義を見直すべきです。オウンドメディアとしての成果を見つめなおし、その目的を明確にする。そして、社内で共有すること。これが重要です。

その上で、具体的に自社オウンドメディアの課題が、今どこにあるか見えてくればOKです。何をどう見直せばいいか分からないという状況からは脱却し、打ち手を繰り出す準備と実行を進めてください。

オウンドメディアの運用は、非常に地道で、根気のいる作業です。現状を分析し、改善仮説を立てて、実行する。さらにその結果をまた分析して、よりよいものへ改善していく。この繰り返しです。

ぜひ自社ビジネスに貢献するオウンドメディアへ育てていただければと思います。

 

教えてもらった担当ディレクター

辻岡 克敏 さん

Webプロデューサー

2001年よりWebプロデュース業を行う。Web制作会社の受注側、事業会社での発注側と双方の立場でWebプロデュースを経験後、2011年に独立。リニューアルや新規メディア立ち上げなど、企画中心のプロデュース案件を多数担当。

 

ディレクターバンクでは、企業のデジタルマーケティング担当者様と一緒になって、効果的なオウンドメディア運用支援を行う運用代行サービスを行っております。自社のオウンドメディア運用でお困りの点がございましたら、お気軽にご相談ください。