認知度向上や集客施策として、Instagramを活用する企業が増えています。
本記事では、企業のInstagram運営担当者向けに、Instagram企業アカウントの成功例を業界別に紹介し、参考になるポイントを解説します。また、事例を基に、Instagram企業アカウント運用で成功するためのポイントや、失敗しないためのアドバイスも紹介。自社のInstagram運用改善のヒントとしてぜひお役立てください。
企業がInstagram(インスタグラム)を運用するメリットとしては、次の5つの点があげられます。
Instagramには、「発見タブ」や「リール専用タブ」「Instagram専用ショップタブ」など、フォロワー以外にも投稿を見つけてもらいやすい機能があります。
「発見タブ」では、ユーザーの興味・関心に基づいて選定された投稿が表示されます。
「リール専用タブ」は、30秒または60秒の短尺動画「リール」をまとめて閲覧できます。
「Instagram専用ショップタブ」では、Instagramで商品カタログを作成、商品購入ページへ誘導できる「ショッピング機能」を使っている投稿やブランドが、ユーザーごとにパーソナライズされて表示されます。
これらの機能を活用することで、ブランドや商品、企業の認知度向上が期待できます。
また、Instagramは画像や動画を中心としたSNSです。テキスト中心の訴求方法に比べ、ブランドや商品の魅力や世界観を直観的に伝えやすく、ブランディングにも効果的です。
「ハッシュタグ(#)」で情報を検索するのは、Instagramの特徴です。
ハッシュタグで検索をかけると、そのハッシュタグがついた投稿をまとめて閲覧できます。
Instagramを運営するMeta社が2019年6月7日に発表したデータによると、「日本の利用者がハッシュタグ検索をする回数は、グローバル平均の3倍(2018年5月)」とのことで、日本では特にハッシュタグでよく情報が検索されていることが分かります。
ハッシュタグを活用することで、自社のブランドや商品に興味関心がありそうなものの、認知には至っていない見込み顧客への接点を作りやすくなります。
また、同じくMeta社発表のデータによると、「Instagramの日本国内の月間アクティブアカウント数は3,300万以上(2019年3月時点)」。「日本の利用者は男性が43%、女性が57%と利用者層が多様化*1」しており、これだけのユーザーに対して集客を行うことができるのも、Instagramのメリットです。
*1出典:カンタージャパンによるFacebook委託調査、2018年5-6月
Instagramでは、「ショッピング機能」という、ECサイトを持つ企業の販売促進に役立つ機能があります。この機能では、投稿した画像・動画内にある商品に商品タグを付けることができ、タグから商品詳細や購入ページへと誘導できます。
また、商品をカタログのように並べた「ショップ」を作成でき、プロフィール下の「ショップを見る」から閲覧可能です。「ショップ専用タブ」でも表示されます。
「Instagram Trends Research Study」*のデータによると、調査対象となったInstagramアクティブユーザー4,500人のうち半数近くが、毎週Instagramを使って買い物をしていると回答しています。このことから、Instagramユーザーには、Instagramを情報収集だけでなく購買の場として活用しているユーザーも多いことが分かります。
*Facebookの委託によりIpsosが実施した調査。オーストラリア、ブラジル、ドイツ、フランス、インド、日本、韓国、英国、米国に住むInstagramアクティブユーザー4,500人が回答。2020年11月実施、調査対象は各国500人。
Instagramのハッシュタグで、自社のブランドや商品名・サービス名を検索すると、利用者の声を収集できます。一般ユーザーの投稿は、企業が実施するお客様アンケートなどよりも率直な声を集められます。
Instagramには、投稿が24時間で消える「ストーリーズ」という機能があり、期間限定の情報なども気軽に発信できます。また、ライブ配信機能があり、コメントにより視聴者と直接コミュニケーションを取れます。こういった機能を活用することで、既存顧客へリアルタイムに情報を届け、これまでにないサポートが可能です。
さらに、Instagramで定期的に情報発信を続けることで、既存顧客と継続した接点を作ることができ、リピートにもつながりやすくなります。
日本国内の企業について、フォロワー数の多い企業アカウントのうち、Instagram企業アカウント運用の参考になる成功例を紹介します。
https://instagram.com/tokyocameraclub
toCの商品・サービスを持つ企業のアカウントが多いInstagramにおいて、珍しくtoBのサービスを提供するアカウントで、toBビジネスを行う企業の参考になります。
「#tokyocameraclub」「#東京カメラ部」のハッシュタグがついた一般ユーザーの投稿を紹介しているのが特徴です。アカウントを運営する東京カメラ部株式会社では、写真に関するシステムやサービスを提供しており、toBサービスのその先にいるtoCを意識したアカウントといえます。
https://instagram.com/starbucks_j
スターバックスのイメージを体現した、季節感のあるメニューやグッズの写真・動画が投稿のメイン。ブランディングや来店促進が期待できそうです。また、ショッピング機能を活用して、投稿を経由してコーヒー豆やグッズをネットショップで購入することも可能です。
ライブ配信やアーカイブ、動画を活用して、バリスタによるイベントやスタッフ紹介、お客様インタビューなども閲覧できます。「#スターバックス」などのタグでは、多くのユーザー投稿があります。
https://instagram.com/kurashiru
レシピ動画アプリ「kurashiru」のInstagramアカウント。レシピの完成写真と手順動画のセットが投稿のメインです。ストーリーズのジャンル別アーカイブを作り、お知らせやクリエイター紹介、ユーザー参加型の投票企画、YouTubeへの誘導などを行っています。また、「#クラシルごはん」で一般ユーザーの投稿を募っています。
動画アプリのダウンロードや動画メディアへの誘導にInstagramは相性が良いようで、kurashiruの他にも、同程度のフォロワーを持つ動画アプリ・動画メディアのアカウントが多数見られます。
https://instagram.com/kajiyarou
テレビ朝日で番組「家事ヤロウ!!!」の公式アカウント。バラエティ番組のなかで圧倒的にフォロワーが多いアカウントです。特徴は、番組内で紹介されるレシピが放送と同時に更新されていくこと。通常投稿はレシピ画像+手順テキストで統一され、予告などはリールや動画で投稿されます。気になったレシピを確認しやすい形になっています。
https://instagram.com/gu_for_all_
GU商品のコーディネートを紹介するアカウント。「@gu_for_all」「#商品名」のついた一般投稿を紹介しています。スタイリストやスタッフによるコーディネート紹介もあります。スタイリストやスタッフは、身長とともにコーディネートが紹介されており、一般ユーザーが参考にしやすい情報が発信されています。ショッピング機能を活用して、投稿からネットショップで商品購入も可能です。
https://instagram.com/grl_official
女優・モデルを起用した、ブランドの商品コーディネート紹介投稿がメイン。単純なコーディネート紹介というよりも、商品を身につけたかわいいイメージが発信されています。ショッピング機能を活用して、投稿からネットショップで商品購入が可能。
https://instagram.com/bape_japan
ブランドイメージを非常に重視している印象を受けるアパレルブランドのアカウント。ストーリーズ投稿が豊富で、テキストはすべて英語です。同じアパレルブランドでも、ブランドによってアカウントの世界観が大きく異なることが分かります。ショッピング機能を活用して、投稿からネットショップでの商品購入が可能。
https://instagram.com/nitori_official
商品の使用をイメージしやすく、インテリアの参考になる投稿がメイン。また、「#ニトリ」「#mynitori」「@nitori_official」がついた一般投稿をストーリーズで紹介しています。ライブ配信やアーカイブでは、商品紹介を見ることができます。ショッピング機能活用により、投稿からネットショッピングでの購入も可能。
https://instagram.com/yamazaki.home.channel
使用シーン、使用方法をイメージできる投稿がメイン。ストーリーズのアーカイブで、バス・洗面、キッチン収納など商品ジャンル別に投稿が分かりやすく分類されています。ショッピング機能を活用して、投稿からネットショップでの商品購入が可能です。
また、公式アプリをリリースしており、プロフィールにアプリダウンロードURLへの誘導があります。
https://instagram.com/hokuoh_kurashi
母体はネットショップで、コンテンツマーケティングに定評のある企業です。北欧テイストのブランドイメージと、暮らしのなかにある商品を感じさせる投稿がメイン。画像だけでなくテキストも充実しており、「読みもの」としてのアカウント運用を行っているのが特徴的です。ショッピング機能を活用して、投稿経由でネットショップで商品購入が可能です。
https://instagram.com/muji_global
無印良品のイメージに沿ったシンプルな世界観で、日常のなかでの使用シーンを想起させる投稿がメイン。スタッフおすすめ動画で、商品について詳しく知ることもできます。ショッピング機能を活用しており、各投稿からネットショップで商品を購入できます。
https://instagram.com/daiso_official
商品紹介、使い方紹介が投稿のメイン。インスタライブで店舗紹介、おすすめ商品紹介を行っており、アーカイブが残されています。実店舗だけでなくネットショップもあり、ショッピング機能活用により投稿からの購入も可能です。
コスメに関する解説画像や動画がメイン。画像にもテキストが多用されており、雑誌のような印象のアカウントです。動画アプリを運営する企業のアカウントですが、リーズナブルなコスメブランドの企業アカウントと似たテイスト。ライブ配信を多く開催、アーカイブが残されており、メイクに関するさまざまな知識を紹介しています。
https://instagram.com/tokyodisneyresort_official
東京ディズニーリゾート内のさまざまな箇所で撮影された写真・動画が投稿のメイン。テーマパークやアミューズメント施設のアカウント運用の参考になります。
場内にいるかのような雰囲気を味わえる、行ってみたいと思わせる投稿が特徴。季節のイベントの様子も知ることができます。ディズニー好きには見ているだけでも楽しいアカウントのはずです。また、ハッシュタグ「#tokyodisneyresort」で、東京ディズニーリゾートを訪れた一般ユーザーの投稿を募っています。
https://instagram.com/retrip_nippon
写真映え抜群の日本各地の風景が、季節感を重視して投稿されています。見ているだけでも楽しく、思わず旅に出たくなるようなアカウント。リトリップはテーマ別に多くのアカウントを運用しており、それぞれ投稿に関連するアカウントが紐づけられています。
https://instagram.com/ana.japan
ブランドイメージに沿って、青を基調とした投稿で統一されています。旅の思い出「#anaタビキブン」、ANAの飛行機写真「#ソラマニ_ヒコーキ」、機窓からの風景「#ソラマニ_マドカラ」のタグがついた一般投稿を紹介。また、公式のTikTok動画も投稿されています。
英語のみの投稿で、日本国内というよりも世界に向けたアカウントと考えられます。日産の車のスタイリッシュな画像・動画の投稿がメインです。Instagramは全世界に向けて情報発信ができるため、英語発信のアカウントを持つ日本企業も多く見られます。自動車や自動車レース、バイクなどの大手メーカーは、同様のテイストのアカウントが多いようです。
https://instagram.com/sonyalpha
カメラ「Sony Alpha」を使用して撮影された写真が紹介されています。カメラブランドのInstagramアカウントではこの形式の投稿が一般的です。テキストは英語のみ。
https://instagram.com/tokyo2020
東京オリンピック・パラリンピックの公式アカウント。公式だからこそ撮影できる映像が多数。イベントのInstagramアカウントの参考になります。テキストは英語のみの投稿で、海外向けの情報発信にもなっています。ストーリーズのアーカイブでは、開催日によって投稿が分類されています。
https://instagram.com/akiko_lawson
「ローソンクルー あきこ」のアイコンが印象的。通常のローソンのロゴのみよりも親近感がわきます。ローソンの商品のなかでも「#おうちカフェ」ブランドのスイーツをメインに紹介しています。また、有名タレントを起用した動画も多く投稿されています。
前述の成功事例から、Instagram企業アカウントが成功するポイントとして、次の点があげられます。
Instagramの企業アカウント運用に際しては、ペルソナ設定をおすすめします。ペルソナとは、商品・サービスを利用する典型的な顧客について、年齢や性別などの属性に加え、生活習慣や趣味嗜好、価値観などの人となりまでを詳細に設定した、架空の人物像です。どのようなペルソナに投稿を見てもらい、どんな行動を起こしてもらいたいのかを設定すると、投稿内容を定めやすくなります。
Instagramの企業アカウント運用では、投稿に統一感を持たせることが重要です。本記事で紹介している成功事例はいずれも投稿に統一感があり、投稿一覧を見ただけで、どういった世界観のアカウントなのかが一目で分かります。
投稿に統一感を持たせるためにも、前述のペルソナ設定が役立ちます。それに加えて、写真や動画、それに付けるテキストやハッシュタグの大まかな基準を定めておくと、投稿内容がブレにくくなります。また、フィード、ストーリーズ、リールという投稿の種類によって、投稿内容を分けるというやり方もあります。
投稿に対してユーザーからコメントがついた場合、「いいね」や「返信」をすることで、ユーザーの企業に対する親近感が上がります。インスタライブではコメントを通じて視聴者とリアルタイムのやり取りが可能です。
また、本記事で紹介した成功事例でよく見られるのが、企業が指定したハッシュタグのついたユーザー投稿を紹介するという方法です。ブランドや商品・サービスの愛用者にとって、多くの場合、公式に投稿を紹介してもらえるのは嬉しいことです。また、そういった企業とのコミュニケーションがあれば、愛用者のより積極的な口コミ発信につながり、新規獲得も期待できます。
Instagram企業アカウントの運用にあたっては、次の点に注意しましょう。
目的・目標を明確にしておかないと、アカウント運用をしているものの、いまいち効果が感じられず、何が悪いのか分からない、という曖昧な状況になりかねません。
たとえば、ブランドや商品・サービスの認知度を上げたいのか、来店・購入を増やしたいのか、リピーターを増やしたいのかなど、まずはアカウント運用の目的を明確にしましょう。そして、その目的に対して、まずはフォロワーを増やす必要があるのか、フォロワーからの反応を増やす必要があるのかなど、目標とすべきところを明確にします。
Instagramの企業向けアカウントである「ビジネスアカウント」では、アカウントを訪れたユーザーについてさまざまなデータを取得できます。目的・目標に対して実際の効果はどうなのか、定期的にデータ分析を行い、改善点を洗い出しましょう。
また、InstagramなどのSNSでは、好まれる投稿の移り変わりが早いため、つねにユーザーの変化を把握して、改善を続ける必要があります。
InstagramをはじめとしたSNSは、企業にとって便利なマーケティング施策である一方で、炎上やユーザーとのトラブルによりブランドや商品・サービスにマイナスの影響を与えるリスクもはらんでいます。
コメントにどこまで対応するのか、万が一トラブルになったときに誰がどのように対応するのかなど、事前にトラブル対策を定め、関係者で共有しておきましょう。
Instagramの投稿や各種機能は、無料で利用できます。企業向けの機能が利用できるビジネスアカウントへの移行も無料です。まだアカウントを持っていない場合、まずは着手することをおすすめします。どういった投稿を行えば良いのか、本記事で紹介している事例が参考になるはずです。
特に、toCのビジネスで、「映える」画像や、Instagramで紹介できそうな豆知識を持っている企業は、Instagramの積極的な活用をおすすめします。toBのビジネスでも、toBのさらに先にいる一般ユーザーに目を向けることで、Instagramを活かせる可能性があります。
一方で、Instagramを活用してみたいけれど、運用に割ける人員や時間が足りないという悩みも珍しくありません。
ディレクターバンクでは、Instagram運用をはじめたいが社内に知見のある人材がいない、すでに運用をしているが成果が出ないといった方に向けて、Instagram運用代行サービスを提供しています。
経験豊富なディレクターをアサインし、企画・制作・投稿・効果測定まで、御社のInstagram運用をまるっと代行させていただきます。ご興味のある方はこちらの詳細ページをぜひご覧ください。