Instagramを集客に活用する企業が増えています。順調に効果をあげている話がある一方で、なかなか効果が出ない、そもそも何から始めたら良いか分からないといった声もあります。本記事では、Instagram企業アカウントの担当者向けに、Instagramで集客の効果を上げるためにおさえておくべき12のポイントを解説します。運用改善のヒントにぜひお役立てください。
Instagramの利用率が高いのは10~30代女性です。これは、総務省が発表している調査資料*から分かります。10~60代のうち、Instagramの利用率が50%を超えているのが10~30代で、10代:69.0%、20代:68.1%、30代:55.6%となっています。また、女性のInstagram利用率は49.4%、男性は35.3%です。
これらの年代の女性がターゲットの場合、Instagramでの集客が効果的といえます。
ただし、40代や50代でもInstagramの利用率は30%を超えており、前年度と比較すると全年代で利用率は増加しています。男性ユーザーの利用率も30%を超えています。そのため、ターゲットの年齢層が高め、あるいは男性中心でも、Instagramでの集客が無意味なわけではなく、やり方次第では集客につながる可能性はあります。
*「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和3年8月 総務省情報通信政策研究所)
Instagramは、画像や動画で訴求するSNSです。ユーザーがスマホ画面をスクロールしていくなか、まずは画像や動画で目に留まることが、投稿を見てもらうためにとても重要です。商品・サービスに関係する、フォトジェニックな画像や動画、いわゆる「映える」投稿を作成しやすい商品・サービスは、Instagram向きといえます。
たとえば、アパレル、インテリア、コスメ、食品などは画像・動画のイメージがわきやすいのではないでしょうか。あるいは、観光や娯楽施設、不動産なども、フォトジェニックな画像・動画の多いジャンルです。逆に、競合が少ないジャンルでユーザーの目を引く画像・動画を作成できれば、それだけ効果的に集客ができるともいえます。
自社の商品・サービスでどのような画像・動画作成が可能か、実際の投稿なども参考にしながら、まずは考えてみましょう。
Instagramは、趣味のために使うユーザーが多いため、基本的にはBtoCの商品・サービスを扱う企業の集客向きです。SNSを使ったBtoB企業の集客方法としては、ビジネスの情報収集や交流に使われることの多いFacebookが向いています。
ただし、集客というより企業や商品・サービスの認知度拡大を目的として、Instagramユーザーに訴求できそうな画像・動画が用意できる場合は、BtoB企業でもInstagramを活用する価値はあります。
Instagramでは、基本的に外部リンクはプロフィールにしか記載できません。しかし、ECサイトを持っている場合、ビジネスアカウント向けのショッピング機能を利用することで、投稿にECサイトへの誘導するリンクを貼ることができます。この機能により、ECサイトはInstagramでの集客が行いやすくなっています。
また、投稿には「ジオタグ」と呼ばれる位置情報を付けることができます。Instagramでは、ユーザーの属性や行動に合わせて表示される投稿が選定されていますが、ジオタグはその基準のひとつです。また、ユーザーはジオタグで検索をかけることができます。そのため、実店舗や施設などに集客を行いたい場合、ジオタグが効果的な機能といえます。
InstagramユーザーがInstagram内で情報を検索するとき、検索したいワードに「#(ハッシュタグ)」をつけたハッシュタグ検索を行います。そして、Instagramをよく利用するユーザーの一定層は、買い物や旅行、外食や趣味などの情報を検索するとき、Google検索よりもInstagramでのハッシュタグ検索を重視する傾向にあります。
つまり、Instagramで集客をすることで、SEOやリスティング広告などではアプローチできなかった層を集客できる可能性があるのです。
Instagramは、まず画像・動画で訴求するSNSです。そのため、テキストよりも画像・動画のほうが魅力を伝えやすい商品・サービスについては、Instagramでの集客が効果的です。
たとえば、アパレルやインテリア、あるいは観光や不動産などの商品・サービスをイメージしてみると、いきなりテキストでいろいろ説明するよりも、画像でまずユーザーの興味関心をひきつけてから、詳しい説明を行うほうが魅力が伝わりやすいはずです。
なお、Instagramでは1回の投稿で最高10枚の画像・動画を投稿できます。トップにユーザーの目を引きやすい画像・動画を置き、そこから他の画像・動画やテキスト、ハッシュタグなどで商品について詳しく訴求していくことができます。
Instagramのユーザーは、購買意欲が高いといわれます。SNSやInstagramに関するさまざまな調査でも、そういった結果が見られます。実際のユーザーの行動を考えてみても、購入を検討している商品・サービスがあったときに、Instagramで情報を検索するということは、自然に行われています。
また、Instagramには、ショッピング機能や、ライブ配信中に購入ページに飛べるなど、Instagarmから商品・サービスを購入しやすい機能も備わっています。この点は、特にECサイトや実店舗への集客を行い購入につなげたい企業にとって、大きなメリットとなります。
Instagramでは、集客をして新規獲得をするだけでなく、顧客との関係性を築き、リピート獲得やファン化につなげることも可能です。
まず、集客においては、ハッシュタグ検索や「発見タブ」「リール」が役立ちます。発見タブでは、ユーザーの属性や行動に合わせて、そのユーザーが興味のありそうな投稿が表示されます。リールは、最長90秒の縦長動画で、リールタブでは発見タブと同じく、ユーザーに合わせた投稿が表示されます。
投稿をきっかけに興味を持ったユーザーがフォローしてくれれば、日々の投稿を通じてブランドや商品・サービスのことをより深く知ってもらい、コメントやアンケート、ライブ配信などの機能を活用してコミュニケーションを取ることで、顧客との関係性が築かれます。
そのアカウントがユーザーにとって日々確認する価値があり、ブランドや商品・サービスのことを好きになってもらえれば、リピートやファン化につながるはずです。
InstagramにはTwitterのRT(リツイート)機能のようなものがないので、意図せず大きな拡散、いわゆるバズりが起こることはありません。自社のアカウントをフォローしていないユーザーに投稿を見てもらうためには、ハッシュタグ検索か発見タブ、リールタブに表示される必要があります。
Instagramのビジネスアカウントでは、自社のアカウントや投稿に対してユーザーがどのような反応をしているのか、詳細なデータを確認できます。このデータに基づき、ユーザーがより素早く多くの反応をしてくれるよう改善を重ね、コメント返しなどのユーザーとのコミュニケーションを重視することで、フォロー外のユーザーにも投稿を見てもらえる可能性が高まります。つまり、データに基づいた計画的な拡散といえます。
Instagramのアカウントには、一般的な個人アカウントの他に、インフルエンサーや著名人向けのクリエイターアカウントと、事業者向けのビジネスアカウントが用意されています。これら2つのアカウントは、まとめてプロアカウントとも呼ばれます。
企業がInstagramで集客を行う場合、まず、ビジネスアカウントへの切り替えを行いましょう。アカウントの切り替えは無料です。プロフィールの「メニュー>設定>プロアカウントに切り替える」から設定できます。
ビジネスアカウントにすることで、個人アカウントにはない以下の機能を利用できるようになります。
インサイトは、Instagramの分析機能です。以下のようなデータを確認できます。Instagramでの集客施策は、基本的に、これらインサイトのデータを基に、PDCAを回しながら改善を重ねていきます。
アカウントのプロフィールに、ビジネスのカテゴリと連絡先情報を表示できます。非表示にすることもできますが、Instagramをきっかけに問い合わせや来店につなげたい場合は、連絡先情報を表示することが重要です。
ECサイトがInstagramを利用する場合にぜひ活用してほしい機能です。投稿から商品購入への導線を作ることができます。なお、ショッピング機能を利用するには、Instagramでビジネスアカウントに切り替えるとともに、Facebookページとの紐づけが必要です。
▲プロフィールの例:kurashiru[クラシル](@kurashiru)より
投稿から興味を持ったユーザーがそのアカウントをフォローするかどうか判断するために確認するのが、プロフィールや過去の投稿です。プロフィールには、そのアカウントが何者なのか、どのような投稿をしていくのかを記載しましょう。
簡単な例をあげると、とあるカフェのアカウントのプロフィールとして、「〇〇(地名)にあるカフェです。営業情報と本日のメニュー、おすすめスイーツなどを紹介していきます」といった形になります。どんな投稿をしていくのか=フォロワーになることでどんな情報を得られるのか、どんなメリットがあるのかということになります。ユーザーの興味関心を惹くプロフィールを考えましょう。
WebサイトやECサイトなどへ集客を行う場合はそのURLを掲載、実店舗への集客を行う場合は店舗情報やアクセス情報、あるいはそれらを確認できるサイトのURLなどを掲載します。なお、Instagramのプロフィールは150字以内という文字数制限があるため、簡潔にまとめる必要があります。
また、たとえば、カフェを訪れたお客さんに投稿を促したいなど、ユーザーによるコンテンツ(UGC)作成を狙いたい場合、「#〇〇でご投稿ください」といった、ハッシュタグの指定もプロフィールに載せておきましょう。
Instagramから集客したい場所への導線を設定します。ECサイト向けのショッピング機能を除き、外部リンクは基本的にプロフィール欄にしか貼れないため、外部サイトへの集客を行う場合は、必ずそのURLをプロフィール欄に記載しましょう。その上で、投稿などからプロフィール欄のリンクを確認してもらえるよう、投稿のキャプションなどで説明します。
実店舗などリアルな場所へ集客する場合は、プロフィール欄に店舗情報やアクセス情報、あるいはそれらが分かるサイトURLを掲載するとともに、投稿のキャプションなどでも適宜店舗情報を記載します。
その上で、どの程度の集客を目標とするのか、そのためにInstagram運用においてどんな数字を出していけば良いのか、KPIを設定します。具体的には、以下のようなKPIがよく設定されます。
アカウント運用開始当初はフォロワー数をKPIとすることが多いですが、ある程度フォロワーを獲得できたら、エンゲージメント率やクリック数をKPIとするなど、運用のなかでKPIとその数字を調整していきます。
Instagramでどのようなユーザーを集客したいのかを明確にしましょう。その際、性別や年齢などの属性だけでなく、ユーザーの趣味や生活習慣、性格などの人となりを具体化した「ペルソナ」を設定することをおすすめします。
ペルソナは、自社の代表的なユーザー像を仮定したものです。ペルソナ設定にあたっては、既存顧客の情報分析や、市場調査、競合調査を行い、データに基づいた設定を行います。競合がInstagramアカウントを運用している場合、そのフォロワーの情報も参考になります。
ペルソナを設定することで、どういう投稿をしたら良いのかが具体的になり、関係者同士で共有しやすくなります。さらに、Instagramのビジネスアカウントでは、ユーザーの属性や行動についてのデータを取得できるので、それらのデータを基に、運用しながらペルソナも改善していきます。
KPIとペルソナ設定を基に、そのアカウントでどんな投稿をしていくのか、投稿内容の基準を決めます。投稿内容やトンマナには、統一感を持たせましょう。ユーザーが投稿一覧を見たときに、投稿内容がバラバラだと、どんなアカウントなのかが分からず、フォローにつながりにくくなってしまいます。
少なくとも週2~3投稿、可能であれば毎日1投稿程度、定期的な投稿を続けることをおすすめします。自社のことをまだ知らないユーザー、まだフォローしていないユーザーに投稿を見つけてもらい、かつ、フォロワーとの関係性を築くためには、定期的な投稿が大切です。
ネタ切れにならないよう、週、月ごとなど、ある程度の投稿の計画を立て、合間に差し込みたいネタができた場合はスケジュールを基に調整すると、運用しやすくなります。
投稿にコメントがついたら、いいねや返信でユーザーとコミュニケーションをとることをおすすめします。それにより、ユーザーに親しみを持ってもらいやすくなります。また、Instagramのアルゴリズムで有利に働き、発見タブやリールタブなどで投稿が表示されやすくなる可能性もあります。その際、いいねや返信にバラつきが出ないよう、アカウントを運用するにあたって、タイミングや基準を決めておきましょう。ユーザーからDMが来ることもあるので、同様に対応しましょう。
また、Instagramのストーリーズには、アンケート機能があります。フォロワーがある程度増えたら、こういった機能によりフォロワーとコミュニケーションをとることもできます。
フィード投稿では、1投稿につき最高10枚の画像・動画を付けることができます。画像・動画はなるべく多いほうが、ユーザーの滞在時間が長くなり、Instagramのアルゴリズムで有利に働きます。無理に画像・動画を増やす必要はありませんが、素材がある場合は、なるべく多くの画像・動画を付けましょう。また、ユーザーが閲覧する際、最初に表示されるトップの画像・動画を、まずはユーザーの目を引くようなものにして、続く画像・動画やテキストで詳しい説明をするようにします。
Instagramでは、ユーザーが情報を検索するとき、基本的にハッシュタグが使われます。検索にひっかかるようなハッシュタグを付けましょう。ただし、数十万、数百万という検索ボリュームが大きすぎるハッシュタグは、投稿を見つけてもらうことが難しいので、検索ボリュームが数千~数万のハッシュタグのほうが集客には効果的です。
▲口コミを狙うハッシュタグの例(赤枠で囲った箇所)
検索にひっかかるためのハッシュタグとは別に、口コミや拡散を狙ったオリジナルのハッシュタグを付けることもあります。Instagramでは一投稿につき30個までハッシュタグを付けることができます。投稿と関係ないハッシュタグを付けることは逆効果ですが、検索にひっかかるよう、またオリジナリティを出せるよう、ハッシュタグは工夫しましょう。
また、画像・動画を説明する文章=キャプションも、ハッシュタグほどではありませんが、検索の対象となります。不自然でない程度に、検索されそうなワード、検索で表示を狙いたいワードを入れましょう。
▲ジオタグの例(赤枠で囲った箇所)
Instagramの投稿では「ジオタグ」と呼ばれる位置情報を付けることができます。ジオタグは投稿時あるいは投稿後も追加可能です。Instagramは、位置情報での検索もできるため、実店舗などリアルな場所への集客を行いたい場合は、投稿にジオタグを付けることをおすすめします。
▲ショッピング機能の例(赤枠で囲った箇所)
Instagramでは、外部リンクは基本的にプロフィール欄にしか記載できませんが、ショッピング機能を利用することで、画像・動画に映っている商品に購入ページへの導線を付けることができます。これは、ECサイトへ集客したい場合におすすめの機能です。
ショッピング機能では、Instagramのアカウントで商品を一覧で掲載するショップページを作り、そこからECサイトへ外部リンクを貼ることができます。投稿の画像・動画に映っている商品には、ショップページのその商品の紹介へつながるタグを付けることができます。
Instagramのビジネスアカウントでは、インサイト機能により、アカウントや各投稿、ユーザーに関する詳細なデータを取得できます。これらのデータを分析しながら、ペルソナ設定やKPIが適切なのか、どんな投稿の反応が良いのかなどを検証して、集客効果を高められあるよう改善していきましょう。
Instagramでの集客は、正しく対策ができていても、効果が出るまでには時間がかかります。まずはフォロワーを増やすことを目標に、直近のKPIに対しては3ヶ月程度、大きな効果については1年程度は様子を見ながら、改善を続けていきましょう。
【こちらの記事も参考に】
Instagram企業アカウント成功例20選!成功ポイント分析
Instagramでの集客の効果を最大化するためには、自社の商品・サービスに興味を持ってくれるユーザーにフォローしてもらう必要があります。キャンペーンなどで一時的にフォロワーを急増させることは不可能ではありませんが、獲得したユーザーがフォローを続けてくれるのか、自社の商品・サービスをリピートしてくれるのか、中長期的な視点で見て意味のあるフォロワー獲得をすることのほうが大切です。
日々の投稿もキャンペーンも、その視点を忘れずに運用を行う必要があります。ペルソナやKPI設定、インサイトを踏まえた改善を行うことで、その視点がズレることを防げます。
Instagramで集客を行うにあたっては、利用規約とポリシーをチェックして、違反行為のないよう注意しましょう。利益規約やポリシーに違反した場合、アカウント凍結や、
ハッシュタグ検索にひっかからない「シャドウバン」の状態になることがあります。
たとえば、コミュニティガイドラインでは、以下のような記載があるため、キャンペーンで金銭や金券などを配る行為は禁止となります。逆に、抽選やコンテストで商品をプレゼントするなどの行為は問題ありません。
「いいね!」やフォロー、コメントを含むやり取りの見返りに、金銭や金券などのプレゼントを申し出たりしないでください。
また、同じ文章や画像・動画、ハッシュタグを使いまわしてキャンペーンを行うと、シャドウバンされてしまう可能性があるようです。
Instagramは、ユーザーとコミュニケーションをとりやすい場所である分、トラブルが起こるリスクもあります。自社の投稿が各所で問題視された場合、あるいは投稿に対して問題となるコメントが付いた場合、ユーザーとのやり取りのなかで問題が起きた場合などに、誰がどう対処するのか、あらかじめルールと体制を整えておきましょう。
これからInstagram企業アカウントの運用を始めるという場合は、本記事のポイント1から順番に始めていただけると、ポイントをおさえて運用開始できるかと思います。すでにアカウントを運用していて改善をしたいという場合は、ポイント1~12をチェックした上で、自社に不足している部分から着手していただければと思います。
自社だけでは人手が足りない、知識が不足しているといった場合は、外部の専門家にサポートしてもらうのもおすすめです。ディレクターバンクの「Instagram運用代行サービス」では、Instagram運用の経験が豊富なディレクターをアサイン。企画・制作・投稿・効果測定まで、御社のInstagram運用をワンストップで代行、サポート可能です。