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BtoB向け広告の選び方5つのポイント解説

作成者: 河村 郁恵|2022/5/15(日)

広告出稿は商材によって注意すべきポイントに違いがあり、特にBtoBとBtoCでは大きく異なる点があります。本記事では、BtoB向けの広告を出稿する際に、どのような点に注意しながらターゲットを決め、広告媒体を選定すべきか、5つのポイントに絞って解説します。これから初めて広告出稿を行うBtoB企業のWebマーケティング担当者の方はぜひ参考にしてください。

 

  1. BtoBにおける広告出稿の目的とは?
  2. BtoB向け広告の種類と費用相場【運用型広告】
  3. BtoBの認知拡大に活用される純広告
  4. BtoB向け広告の選び方5つのポイント
  5. PDCAを回しながら最適な広告を探る

 

BtoBにおける広告出稿の目的とは?

BtoBの広告出稿の目的は、ターゲット向けた「認知/興味/比較・検討」のいずれかの状態になってもらうことです。上図のように、ターゲットは認知→興味→比較・検討を経て購入に至ります。購入に近づくほど、ターゲットとなるユーザーが絞られていき、数が少なくなっていきます。

BtoBでは、広告からそのまま購入に至ることは稀で、比較・検討段階のターゲットが資料請求や問い合わせなどのアクションを経て購入に至るのが一般的です。これは、BtoBの商材は高額なものが多く、社内で関係者による検討や承認が必要なことが多いためです。

BtoBの広告の目的をより具体化すると、以下のようになります。

 

認知

・解決すべき課題があることに気づいててもらう

・自社の商材を認知してもらう

興味

・課題解決の方法として自社の商材に興味を持ってもらう

・自社の商材について知りたいと思ってもらう

比較・検討

・競合に比べた自社の強みを知ってもらう

・自社の商材の導入を検討してもらう

 

BtoBの広告の目的によって、狙うべきターゲットは変わります。ターゲット層は、大きく「顕在層/準顕在層/潜在層」に分けることができます。

  • 顕在層:課題に対する解決策が明確で、導入するサービスを具体的に検討している
  • 準顕在層:課題は認識しているが、解決策が明確ではない
  • 潜在層:課題が明確になっていない
BtoBの広告の目的別に狙うべきターゲット層を考えると下図のようになります。

さらに、BtoBの広告の目的によって、ターゲット層が変わるとともに、CTAも変わります。これらをまとめると、下図のようになります。
 

目的

ターゲット

CTA

比較・検討

顕在層

準潜在層

資料請求

問い合わせ

無料トライアル

ウェビナー参加

など

興味

準潜在層

潜在層

メルマガ登録

資料ダウンロード

資料請求

SNSフォロー

など

認知

潜在層

Webサイト訪問

資料ダウンロード

SNSのいいね!

など

 

BtoBとBtoCの広告の違い

BtoBとBtoCの広告の大きな違いとして、次の点があげられます。


ターゲットの数

商材による違いはありますが、BtoBの広告はBtoCに比べてターゲットの数が少ないのが一般的です。そのため、商材の購入につながりやすい顕在層や準顕在層だけでなく、潜在層にリーチする広告も積極的に打ち出す必要があります。

また、BtoCの広告では既存顧客に対するリピート化のアプローチもよく行なわれますが、BtoBの広告では新規顧客獲得が中心です。


効果的な媒体・配信タイミング

BtoBの広告で効果を出すためには、ターゲットが勤務中に閲覧する可能性がある媒体に、勤務時間帯の配信を行う必要があります。勤務時間外に広告を見ても、アクションにつながりにくいと考えられます。

媒体としては、ネット検索結果画面に表示されるリスティング広告、各種メディアやアプリの広告枠に表示されるディスプレイ広告などは、BtoB・BtoCともによく利用されます。一方、SNS広告などはBtoC寄りの広告です。ただ、Facebookはビジネスで利用されることも多いため、Facebook広告はBtoBでも効果が見込めます。

配信タイミングは、商材にもよりますが、平日日中の配信が効果的です。また、一般的に勤務中はスマホよりもPCを利用することが多いため、PCでの閲覧を前提とした広告のクリエイティブの制作をおすすめします。

一方、BtoCの広告は、通勤・通学の時間帯や平日夜、休日にスマホで閲覧される機会が多くなります。


効果が出るまでの時間

BtoBの広告は、BtoCに比べて効果が出るまでに時間がかかる傾向にあります。BtoCでは、広告を見て興味を持ち、広告のリンク先のECサイトなどでそのまま商品を購入する、という流れは珍しくありません。しかし、BtoB商材では稀です。

それは、BtoBの商材は高額なものが多く、広告を閲覧した担当者イコール決済者ではないことが多いためです。BtoBでは、商材が認知されてから興味、比較・検討を経て購入に至るまでに、社内の複数の関係者での検討や決済の承認が必要です。そのことを前提として、広告の配信を計画する必要があります。

BtoB向け広告の種類と費用相場【運用型広告】

BtoB向けの広告のうち、運用型広告について、主要な種類と費用相場を以下にまとめました。BtoC向けの広告と共通する点もありますが、特にBtoB向けにおすすめの広告について解説しています。

なお、運用型広告とは、広告出稿主がターゲットや予算を設定し、広告枠を入札して配信を行うWeb広告です。これに対して、広告枠を買い取り、事前に定められた期間、決まった内容で出稿する広告を純広告といいます。純広告についても後ほど解説します。

 

リスティング広告(検索連動型広告)

▲リスティング広告の例(画像の赤枠で囲んだ箇所)【Google検索より】

リスティング広告は、Google検索やYahoo!検索などの検索エンジンにおいて、ユーザーが検索したワードに連動して表示される広告です。検索結果画面において、自然検索結果の上に表示されます。検索連動型広告ともいわれます。

こんな場合におすすめ

ターゲットの課題解決策として自社の商材を提示したい

メルアドなどターゲットにアプローチできる情報を獲得したい

自社の詳細を知ってもらうきっかけを作りたい

リーチできるターゲット層

顕在層

準顕在層

掲載場所

検索エンジンの検索結果画面

(自然検索結果より上)

課金方法

おもにクリック課金

費用相場

1クリックあたり100円~1,000円

※商材や設定により異なる

リスティング広告は、特定のワードを検索したユーザーに対して表示されます。自社の商材やその商材を使って解決できる課題に関連したワードを設定することで、準顕在層・顕在層にリーチできます。課金方法はクリック課金が中心です。

相場は1クリックあたり100円~1,000円。ただし、商材やキーワード・ターゲットなどの設定により変動します。

BtoBにおいて、企業の何らかの課題を解決する方法を探す際、まずはネット検索をするというケースは多いため、リスティング広告はBtoBの広告としても効果的です。

 

ディスプレイ広告

 

▲ディスプレイ広告の例(画像の赤枠で囲んだ箇所)
【Yahoo!ニュース|tenki.jpより】

ディスプレイ広告は、複数のWebサイトやアプリに広告配信枠を持つアドネットワークにおいて、ユーザーの属性やWebサイト上の行動に基づいて表示される広告です。テキストだけでなく、画像や動画を使った広告を出稿できます。

ディスプレイ広告のネットワークとしては、Googleディスプレイネットワーク(GDN)やYahoo!ディスプレイ広告(YDA)が代表的です。

こんな場合におすすめ

課題解決策として自社の商材を検討してほしい

メルアドなどターゲットにアプローチできる情報を獲得したい

※リターゲティング広告

課題の解決策として自社の商材を認知してほしい

ターゲットの抱える課題を明確化したい

リーチできるターゲット層

顕在層

※リターゲティング広告

準顕在層

潜在層

掲載場所

Webサイトやアプリの広告配信枠

課金方法

クリック課金

インプレッション課金

費用相場

1クリックあたり50円~200円

※商材や設定により異なる

ディスプレイ広告は、ユーザーの属性やWebサイト上での行動をターゲットとして設定でき、ユーザーが日頃閲覧するWebサイトやアプリに広告を表示できます。そのため、課題がまだ明確になっていない潜在層や、自社のことを知らない準顕在層にもリーチ可能です。

一方、自社のWebサイトを訪れたことのあるユーザーをターゲットとして設定することも可能で、この手法はリターゲティング(リマーケティング)と呼ばれます。

ディスプレイ広告の課金方法は、クリック課金またはインプレッション課金です。相場は、クリック課金では1クリックあたり50円~200円、インプレッション課金では1,000回表示につき数十円~数百円。ただし、商材やターゲットの設定により大きく変動します。

ネットワークにもよりますが、ディスプレイ広告が表示されるWebサイトやアプリには、ターゲットがビジネスで利用機会のあるものも含まれ、BtoBの広告としても効果的です。

 

YouTube広告


Google広告ヘルプ「動画広告フォーマットの概要」より

YouTube広告として一般的なのが、「インストリーム広告」と「バンパー広告」です。インストリーム広告は、動画再生の前後または途中で表示され、スキップ可能なものとスキップ不可のものがあります。バンパー広告は、スキップ不可の短い広告です。いずれもYouTube動画再生ページまたはGoogle動画パートナー上のWebサイト・アプリに表示されます。

その他にも、YouTubeの検索結果・関連動画の横・モバイルのトップページに表示される「インフィード広告」や、YouTubeのホーム・次のおすすめ・Discoverフィードなどに表示される「ファインド広告」など、いくつかの種類があります。

こんな場合におすすめ

ターゲットの抱える課題を明確化したい

広く自社の認知度を上げたい

リーチできるターゲット層

潜在層

掲載場所

YouTube動画・プラットフォームなど

課金方法

クリック課金

インプレッション課金

視聴課金

費用相場

1再生あたり3~20円

※商材や設定により異なる

YouTube広告は、キーワードやユーザーの属性や行動、Google広告のデータなどを基にターゲット設定を行います。幅広いターゲット層にリーチが可能ですが、特にYouTube動画の前後または途中に再生される動画広告は、動画視聴者が必ず見るものであるため、認知度向上に効果的と考えられます。

YouTube広告の課金方法は、広告の種類によって異なりますが、インストリーム広告では視聴課金またはインプレッション課金、バンパー広告ではインプレッション課金となります。商材や設定、広告の種類によっても変動するので、上表の費用相場はあくまでも目安として参考にしてください。

YouTubeはどちらかというと勤務外に利用する機会が多いかもしれませんが、テレビCMに比べて費用を抑えて出稿できる動画広告であるため、広く認知度を向上するためにBtoBでも出稿する例が見られます。

 

Facebook広告

▲Facebook広告の例(画像の赤枠で囲んだ箇所)

Facebook広告の基本となるのが、フィードや右側の広告枠に表示される広告です。その他、ストーリーズや検索結果、Messangerなど、さまざまな広告枠があります。Facebookはビジネス目的で利用するユーザーも多く、BtoBの広告にも活用しやすい媒体です。

こんな場合におすすめ

課題解決策として自社の商材を認知/検討してほしい

メルアドなどターゲットにアプローチできる情報を獲得したい

ターゲットの抱える課題を明確化したい

リーチできるターゲット層

顕在層

準顕在層

潜在層

掲載場所

フィード

右側広告枠

ストーリーズ

検索結果

Messanger など

課金方法

クリック課金

インプレッション課金

費用相場

1クリックあたり100円~200円

※商材や設定により異なる

Facebook広告は、ユーザーの登録情報やFacebook上での行動を基に、こまかなターゲティングが可能です。このため、幅広いターゲット層にリーチできます。広告の目的に応じて、適切なターゲットを設定しましょう。

1日あたりの広告費の最低金額が100円で、1クリックあたり100円~200円が相場といわれることが多いですが、商材や設定により大きく変動します。

なお、Facebook広告を管理する「Facebookマネージャ」ではInstagramの広告も管理できますが、Instagram広告はBtoC寄りの広告となります。

 

BtoBの認知拡大に活用される純広告

ここまで、オンラインの運用型広告を紹介してきましたが、BtoBの広告では、純広告もよく活用されます。純広告は、広告枠・掲載期間・広告費が確定しており、掲載期間中、基本的に同じ内容の広告を出稿する形です。

運用型広告に比べ広告費が高いものが多いですが、掲載が確約されており、不特定多数に幅広く自社の商品を認知してもらうことが期待できます。勤務中のネット利用が少ない業界・業種へのアプローチにも有効です。主要なものとして、次の種類があります。


業界紙・業界メディアの広告枠

業界特化型のメディアや新聞、雑誌の広告枠に出稿する広告です。業界関係者の潜在層・準顕在層に効率的にリーチできます。また、専門性の高い広告枠ということで、ターゲットからの信頼を得やすく、決済者の目に留まる確率も高いため、認知→興味→比較・検討という段階が比較的早く進むことが期待できます。


通勤経路の電車広告

電車内の広告や、駅構内の広告枠に出稿する広告です。沿線にある企業の潜在層・準顕在層に効率的にリーチできます。特定のエリアや企業のユーザーをターゲットにしたい場合に効果的です。通勤時に毎日目にすることによる認知効果が期待できます。沿線にもよりますが、広告費は高めです。


ビジネス街の屋外広告

ビジネス街の屋外広告への出稿です。ビジネス街にある企業の潜在層に効率的にリーチできます。特定のエリアや企業のユーザーをターゲットにしたい場合に効果的です。出退勤時や外出時に頻繁に目にすることによる、認知効果が期待できます。エリアにもよりますが、広告費は高めです。


オフィスビルの広告

オフィスビル内の広告枠に出稿します。オフィスビルに入っている企業の潜在層に効率的にリーチできます。特定のエリアや企業をターゲットにしたい場合に効果的です。出退勤時や勤務中にも頻繁に目にするもので、認知効果が期待できます。エリアにもよりますが、広告費は高めです。


テレビCM・ネット配信CM

テレビCMやネット配信のCMは、明確にターゲットを絞ることはできませんが、不特定多数に対して広い認知を得るという点では、大きな効果が期待できます。ただし、広告費は高めです。そのなかでも、テレビCMよりはネット配信CMのほうが広告費を抑えられるケースが多いようです。


BtoB向け広告の選び方5つのポイント

BtoB向けの広告では、次の点をおさえて出稿先を選びましょう。


1.目的に合ったBtoB向け広告を選ぶ

広告を選ぶときは、まず、目的によって出稿すべき広告を大きく絞ります。BtoBでは、広告からいきなり購入に至ることは稀で、広告の目的は、ターゲットの認知/興味/比較・検討いずれかを得ることに大別できます。

広告の目的によって、リーチすべき層が変わります。BtoB広告のターゲット層は、潜在層/準顕在層/顕在層に大別できます。広告の種類によってリーチできる層が異なるため、目的から考えてリーチすべき層にリーチできる広告を選びましょう。

特にBtoBでは、BtoCに比べてターゲットが限定されるため、リーチしたい層に確実に届く広告を選ぶことが重要です。


2.ターゲットに合った広告を選ぶ

目的に応じた広告を大きく絞ったら、ターゲットを潜在層/準顕在層/顕在層からさらに明確化して、効果的だと考えられるBtoB向け広告を絞ります。

以下のような観点から、ターゲットを明確化できます。その際、既存顧客のデータ、営業やカスタマーサポートのスタッフがユーザーと接するなかで蓄積しているデータや顧客像、自社のWebサイトがあるならばそこへの流入データなどを活用して、できるだけ根拠のあるターゲットを想定しましょう。

  • 業種・業界
  • 会社の規模
  • 地域
  • 課題
  • 担当者の職種 など


3.予算と費用対効果に合った広告を選ぶ

純広告は広告費が決まっていて、広告のなかでも高額なものが多いため、誰でも気軽に出稿できるものではありません。運用型広告は、基本的に広告費を調整しやすい仕組みですが、設定によっては広告費が高騰する場合があります。

限りある予算のなかで無理なく出稿でき、費用対効果の合うBtoB広告を選ぶことが大切です。広告は一度出稿して終わりではなく、出稿による効果を見ながら、最終的な行動(購入)につながるよう次の施策を実施する必要があります。


4.最終的な行動に至る経路を確認する

広告で効果を出すためには、広告からどうCTAにつなげるのか、また、そのCTAから最終的にどう行動(購入)につなげるのか、広告に連なる全体の流れを設計する必要があります。BtoBの広告は、最終的な行動に至るまでに時間がかかりやすいので、顧客との関係性を築いていくリードジェネレーションを考え、その入り口として最適な広告や内容を選びます。


5.競合の広告をチェックする

競合他社の広告をチェックすることで、効果的なターゲット設定や広告媒体が見えることがあります。出稿先や内容がかぶっている場合、どう差別化するかも考える必要があります。広告を出稿するにあたっては、競合他社がどのような媒体にどのような内容で広告を出しているのか、チェックしておきましょう。


PDCAを回しながら最適な広告を探る

BtoBの広告で効果を出すためには、本記事で紹介したように、まず、目的に応じた広告に出稿することが大事です。また、一度出稿して終わりではなく、効果を分析しながらPDCAを回し、改善を続けることも必要です。広告だけでなく、購入に至るまでの経路の改善も大切です。

このように、BtoBの広告効果を最大化するためには、広告の選定から出稿後の改善まで、専門知識を持つ人員と、関連業務に割く時間が必要です。それを社内の人員だけで対応するのは難しい場合も多く、広告出稿に関する業務は外注されやすい業務です。

ディレクターバンクでは、広告運用代行というサービスを提供しています。このサービスでは、経験豊富な広告運用ディレクターをアサインして、広告出稿の企画から、運用や出稿後の効果測定、改善業務まで、ワンストップで代行させていただきます。

BtoBの広告に関する経験も豊富ですので、広告出稿について不明な点や、社内だけでは対応が難しい点がある場合など、お気軽にご相談ください。